作業療法士の平均月収や年収は?そのほかの医療職と徹底比較!
作業療法士を目指す人にとって、将来、月収や年収がどのくらいになるのかは気になるところでしょう。作業療法士は、リハビリの専門職であり、国家資格が必要な仕事です。将来の収入の目安がイメージできれば、より安心して作業療法士を目指せるでしょう。
今回の記事では、作業療法士の平均月収や年収を解説します。ほかの医療職との比較も紹介しているので、進路に迷っている人は検討の材料に活用してください。
そもそも「作業療法士」とはどんな仕事?
作業療法士とは、リハビリテーションの専門職で、国家資格を必要とする職業です。
同じリハビリ専門職の理学療法士と混同される事が多いですが、両者には以下の違いがあります。
作業療法士の仕事
作業療法士は「食事をする」「身支度をする」「文字を書く」など、日常生活を送るために必要な応用的動作のリハビリテーションをおこないます。
この日常で必要な動作のほか、仕事や地域活動に向けた社会的応用能力の改善や、心のケアまで、多岐にわたるサポートを担当します。
理学療法士の仕事
「立ち上がる」「歩く」などの運動機能を回復させるためのスペシャリストです。
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作業療法士の平均月収や年収は?
本章では、データに基づいて作業療法士の平均月収や年収を案内します。具体的な給与額は、経歴や職場によって異なります。目安として参考にしてください。
新卒の作業療法士の平均月収
厚生労働省が発表している「平成30年度賃金構造基本統計調査」によると、20~24歳の作業療法士(理学療法士含む)の平均月収では、男性が23.5万円・女性が23.9万円です。
厚生労働省による仕事の分類により、理学療法士と同じ区分となっていますが、作業療法士と理学療法士の給与水準は近いため、実情とかけ離れた数値となってしまう心配はありません。
勤続年数6年の作業療法士の平均月収と年収
平均年齢32.9歳で勤続年数が約6年の場合、作業療法士の平均年収は約400万円です。平均月収は約29万円、年間賞与は約66万円です。
多くの職場では、作業療法士は民間企業の社員と同じように勤続年数に応じて基本給がアップするため、一般的には長く勤務すればするほど、収入は増加します。
とはいえ、職場の給与体系により、昇給の程度は大きく異なります。また、年収における給与と賞与の金額のバランスも、運営母体の考え方によって変わります。
なお、日本作業療法士協会が発行している「2018年度日本作業療法士協会会員統計資料」によると、作業療法士である会員の男女比は男性約38%に対して女性約62%です。
このように作業療法士は女性比率が高く、結婚や出産・育児をきっかけに休業や退職すると、その後のキャリア形成が難しい場合もあります。収入に影響を与える事もあるでしょう。
そのほかの医療職と月収比較
作業療法士の月収が、そのほかの医療業界と比較して多いのか少ないのかが気になる人も多いでしょう。
作業療法士と理学療法士の給与水準がほぼ同等である事は前述したとおりです。本章では介護職や看護職との給与の違いを解説します。また、勤務する地域によって給与が違ってくるのかについても紹介します。
介護職の給料との比較
作業療法士は、一般的に介護職よりも給与水準がやや高い傾向があります。
例えば、介護の現場で中心的な実務を果たす介護職員の月収は約30万円です。対して、作業療法士は月収約34万円となっています。
介護福祉士は、社会的な必要性や人員不足から、資格取得のための補助金制度が整うなど、少しずつ待遇改善へ向けての処置が取られています。
看護職の給料との比較
作業療法士は、一般的に看護職よりも給与水準がやや低い傾向があります。
「平成30年度賃金構造基本統計調査」での月収を比較した場合、作業療法士が月収約34万円なのに対して、看護師は約37万円です。
看護師の場合には、夜勤手当や資格手当などの手当が整えられている事や、看護師長や認定看護師などのスキルアップを評価する制度が設けてられている点が特徴的です。
そもそも作業療法士と看護師とは働き方が大きく異なるので単純比較しづらい部分はありますが、看護師のほうが賃金体系の仕組みは整っているといえます。
地域によっても月収は異なる?
作業療法士の月収は、東京をはじめとした都心部ほど、高い傾向が見られます。
例えば、正社員の求人案件の平均を年収ベースで比較すると、全国で最も給料水準が高いのが東京で約404万円。2番目に高いのは神奈川県で約387万円です。反対に最も水準の低いが、島根県で約273万円となっています。
作業療法士の月収は就職先によって異なる?
作業療法士の給料は就職先によって異なります。
細かくチェックするには個別に案件を見なくてはなりませんが、本章では作業療法士としての就職先による月収の違いを解説します。
結論としては、年収ベースで見れば就職先の違いによる大きな差は見られませんが、月収と賞与・福利厚生などのバランスが異なる場合があります。
平均初任給が高いのは「介護施設」
作業療法士のおもな就職先としては、一般病院・診療所・介護施設・福祉施設があります。そのうち、最も平均初任給が高いのは「介護施設」です。
介護施設で作業療法士の平均初任給は約27万円です。
介護施設での作業療法士のおもな働き方は、機能訓練指導員としての勤務です。機能訓練指導員とは、利用者の身体機能の回復のサポートをしたり、リハビリプログラムを作成したりする役割を担います。
※機能訓練指導員は、作業療法士・理学療法士・看護師・柔道整復師など医療系の有資格者しかなる事ができません。
医療施設や福祉施設では「賞与が充実」
一方、医療施設や福祉施設に作業療法士として勤務した場合の傾向は、賞与が多い事があげられます。月収ベースで比較をすると、医療施設や福祉施設で勤務するよりも、介護施設で勤務するほうが高いですが、年収ベースで見れば同等の収入となるケースが多いです。
結論としては、地域による相場の違いはあるものの、就職先の形態による給与水準の違いはあまり気にする必要がありません。特に医療機関では、福利厚生の充実をうたっている求人案件が多く見られます。
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まとめ
作業療法士の平均給与は、新卒時で月収約23万円、就職後6年目の月収が約29万円です。作業療法士の給与水準は、理学療法士とほぼ同じ、介護職よりは少し高くなっています。
介護施設に就職した場合には月収が高く、医療施設や福祉施設に就職した場合には賞与が多い傾向がありますが、年収ベースで比較した場合には就職先の形態による収入の違いは大きくありません。しかし、地域差やスキル、経歴による違いは生じる可能性はあります。