健康運動指導士と健康運動実践指導者の違いとは?仕事内容や試験内容を解説!

健康・運動に関する資格のなかに、健康運動指導士と健康運動実践指導者がありますが、この2つの違いがわからない人は多いのではないでしょうか。名称が似ているため、一見大きな違いがないように思うかもしれませんが、両者は仕事内容や求められる能力が異なる資格です。

この記事では、健康運動指導士と健康運動実践指導者の違いを、両者の役割や働き方を踏まえて解説します。資格の取得を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

健康運動指導士とは

健康運動実践指導者との違いを明確にするために、まず健康運動指導士の概要を解説します。

健康運動指導士の概要

健康運動指導士は「公益財団法人 健康・体力づくり事業財団」が認定する民間資格です。保健医療の関係者と協力し、おもに個人の身体に応じた安全で効果的な運動プログラムの作成と指導計画の調整をおこないます。

令和2年10月1日現在、日本国内では18,294人が健康運動指導士として登録されており、運動施設やフィットネスクラブのアドバイザーのほかに、介護施設・病院などでも活躍しています。

※「公益財団法人 健康・体力づくり事業財団」:健康・体力づくりの普及啓発のために、出版・調査・研究・資格試験の主催・研修会の開催などの事業をおこなう団体です。昭和53年に設立された「財団法人 健康づくり振興財団」を母体とし、少子高齢社会を迎えた現在でも、国民の健康・体力づくりのために重要な役割を担っています。

健康運動指導士の仕事内容

健康運動指導士の仕事内容は次のとおりです。

  • 対象者に対して、目的や課題に合った個々の運動プログラムを作成する
  • 実践する指導計画の調整をおこなう
  • 対象者の進捗状況をチェックして、必要に応じて運動指導をおこなう

健康運動指導士は、老若男女あらゆる対象者の健康・体力づくりを目的とし、おもに一人ひとりのプログラム作成と進捗管理をおこなっています。生活習慣病の一次予防だけでなく二次予防のためにも、健康と運動の専門家として必要性が高まっています。

※一次予防:健康な人に対して、病気の原因となるものを事前に除去し予防する事
※二次予防:病気になった人に対して、早期発見・早期治療し病気の進行を抑える事

健康運動実践指導者とは?

次に、健康運動実践指導者の概要を解説します。健康運動指導士とは、どのような違いがあるのかを見て行きましょう。

健康運動実践指導者の概要

健康運動実践指導者は健康運動指導士と同じく「公益財団法人 健康・体力づくり事業財団」が認定する民間資格です。両者は同じ団体が認定する名称の似た資格ですが、仕事内容や役割は異なります。

健康運動実践指導者は、健康づくりのためにおこなう運動を、安全かつ効果的に実践指導できる能力を有する者として位置づけられています。必要とされるのは医学や運動生理学の知識だけでなく、自らが運動プログラムを実演する能力と、集団に対して指導する力です。

両者を比較すると、健康運動指導士が一人ひとりに合わせたプログラムづくりにフォーカスするのに対し、健康運動実践指導者は地域や学校、医療機関などのさまざまな人へ運動指導をする事にフォーカスする仕事といえます。

令和2年10月1日現在、日本国内では19,003人が健康運動実践指導者として登録されており、パーソナルフィットネスクラブや医療機関などで活躍しています。

健康運動実践指導者の仕事内容

健康運動指導者の仕事内容は次のとおりです。

  • 一人ひとりの健康状態や体力レベルに合わせ、無理のない指導で正しい運動方法を身につけさせる
    コミュニケーションをとりながら、運動の楽しさを伝える
  • 成人だけでなく子どもに対しても、自らの健康を管理する能力を育成して行く事が大切です。健康管理の知識や運動指導能力を持つ健康運動実践指導者は、運動指導のみならず学校教育の場でもニーズがあります。

健康運動指導士と健康運動実践指導者の違いは?

健康運動指導士と健康運動実践指導者の仕事内容を踏まえて、改めて両者の違いを解説します。

役割の違い

健康運動指導士と健康運動実践指導者は、担当範囲の違いから役割が異なります。例えば、生活習慣予防のために運動プログラムを実践する場合、健康運動指導士が一人ひとりの状態や課題に合わせた運動プログラムを作成し、健康運動実践指導者がプログラムをもとに運動指導をおこないます。

両者は互いに協力して業務範囲をカバーし合いながら、対象者の健康・体力づくりのための運動指導をしていきます。対象者が自分自身に合った適切な運動を継続するためには、両者の協力が不可欠といえるでしょう。

求められるスキルの違い

健康運動指導士と健康運動実践指導者に求められるスキルの違いは、以下のとおりです。

  • 健康運動指導士

一人ひとりの状態に合わせてプログラムを作成しなくてはならないため、高いレベルの医学的知識が求められます。あわせて、身体のつくりや栄養などに関する幅広い専門知識と、対象者に一人ひとりに合ったプログラムを作成する能力も必要です。

  • 健康運動実践指導者

運動指導を実践しなくてはならないため、現場での指導スキルが求められます。手本となるようにわかりやすく運動をして見せて、対象者一人ひとりが正しく運動できるように指導する能力が必要です。

健康運動指導士と健康運動実践指導者になるには?

健康運動指導士・健康運動実践指導者はいずれも、資格取得のために一定の条件を満たす必要があります。そもそも、自分が試験を受けるための条件を満たしているかどうか、しっかりと確認しておきましょう。

健康運動指導士になるには

健康運動指導士になるためには、認定試験に合格する事が必要です。この試験は誰でも受けられるものではなく、健康運動指導士養成講習会を受講する、もしくは健康運動指導士養成校で学ぶ事で受験資格を得られます。

なお、養成講習会を受講するためにも、以下のいずれかを満たす事が必要です。受講するコースは、以下のうちどの条件に該当するかで変わります。

  • 4年制の体育系大学を卒業した人(卒業見込みも含む)
  • 4年制以上一般大学を卒業し、医療・栄養に関する国家資格(歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師など)を保有する人
  • 健康運動実践指導者の称号を保有する人
  • 医師・管理栄養士・保健師のうち、いずれかの資格を保有する人

健康運動実践指導者になるには

健康運動実践指導者も、健康運動指導士と同じく認定試験に合格しなくてはなりません。健康運動実践指導者養成講習会を受講する、もしくは健康運動実践指導者養成校で学ぶ事で、受験の条件を満たす事ができます。

健康運動実践指導者養成講習会を受講するための条件は、以下のとおりです。

  • 体育系の短期大学・2年制専修学校、もしくはこれと同等以上の学校を卒業した人(卒業見込みも含む)
  • 3年以上の運動指導経験がある人
  • 運動指導に関する資格(グループエクササイズフィットネスインストラクター・スポーツプログラマーなど)を保有する人
  • 保健医療、もしくは学校教育に関する資格(保健師・管理栄養士・看護師・幼稚園教諭など)を保有する人

いずれの資格も、5年ごとに講習会を受講し更新する必要があります。養成校として認定されている学校は、以下のリンクを参考にしてください。

参考:健康運動指導士養成校/公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
健康運動実践指導者養成校/公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

まとめ

健康運動指導士と健康運動実践指導者は、いずれも「公益社団法人 健康・体力づくり事業財団」が認定している事などが関係し、混同されやすい資格です。両者は、おもにスポーツ関係の職場で活躍する事が多いところは共通していますが、仕事内容や求められる役割が異なります。

健康運動指導士は対象者一人ひとりに合ったプログラムを作成して管理する仕事であり、健康運動実践指導者は現場で対象者のグループに対して指導をする仕事です。

資格取得を検討している人は両者の違いを踏まえて、自分に受験資格があるのか、どのように働きたいかを確認してみましょう。

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