アスレティックリハビリテーションとは?概要や目的をわかりやすく解説!

リハビリテーションの一環である、アスレティックリハビリテーションをご存じでしょうか?アスレティックリハビリテーションは、スポーツの競技復帰を主な目的としておこなう、リハビリテーションの事です。

競技ごと、患者の状態や目指すレベルごとなどに、具体的にプログラムを設定して、段階的にリハビリテーションをおこないます。

この記事では、アスレティックリハビリテーションの概要について解説します。主な担い手であるアスレティックトレーナーになるために有利に働く資格についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

アスレティックリハビリテーションとは?

アスレティックリハビリテーションの概要や、どのような事を目的として実施されるのかについて解説します。

アスレティックリハビリテーションの概要

アスレティックリハビリテーションとは、スポーツによるケガや身体の不調から競技復帰までを目指すリハビリテーションの事です。

また、リハビリテーションのほかに、スポーツをする人が抱える問題や悩みに対するアプローチをおこなう事もあります。

アスレティックリハビリテーションの目的

アスレティックリハビリテーションは、ケガからの回復だけでなくケガの再発防止やパフォーマンスの向上を目的として実施されます。そのために、関節稼働領域や筋力・持久力・バランス能力などの機能の向上を目指します。

アスレティックリハビリテーションの対象者

アスレティックリハビリテーションは、プロからアマチュアまで幅広い競技者を対象としています。

「アマチュア」スポーツには非常に幅がありますが、アスレティックリハビリテーションが対象としているのは、クラブ活動の部活や企業スポーツなどの競技レベルから地域のスポーツやサークルなどのレクリレーションレベルまでのあらゆる範囲です。

スポーツの種目としても、サッカー・ラグビー・陸上競技・水泳・テニスなど、さまざまな種目をカバーします。

また、スポーツ以外の場面でケガをした人が、スポーツを楽しめるようにするためにリハビリテーションをサポートする事もあります。

アスレティックリハビリテーションとメディカルリハビリテーションとの違い

アスレティックリハビリテーションのほかに「メディカルリハビリテーション」と呼ばれるリハビリもあります。この章では、両者にどのような違いがあり、どのように使い分けがされているのかについて解説します。

メディカルリハビリテーションとは?

メディカルリハビリテーションとは、いわゆる一般的な「リハビリ」です。

ケガや後遺症などの痛みによって動作に制限がかかっている患者に対して「立つ」「歩く」「座る」などの作業を医師・理学療法士・作業療法士などがチームを組んでおこなっていきます。

リハビリの結果として、日常動作がスムーズにでき、社会復帰できるようになる事を目的としています。

アスレティックリハビリテーションとメディカルリハビリテーションとの違い

アスレティックリハビリテーションは、スポーツへの復帰や機能向上までを目的としているという点で、リハビリをおこなう目的や内容がメディカルリハビリテーションとは異なります。

とはいえ、アスレティックリハビリテーションにおいても、リハビリテーションの初期段階においてはメディカルリハビリテーションを実施するケースが一般的です。

言い換えれば、メディカルリハビリテーションの延長線上に、アスレティックリハビリテーションがあるともいえるでしょう。

アスレティックリハビリテーションの具体的な流れ

「競技復帰のためのリハビリテーション」に関して、漠然と理解する事はできても、未経験の人にとっては具体的なアスレティックリハビリテーションの内容や対応方法についてはイメージしづらいかもしれません。

この章では、アスレティックリハビリテーションの具体的な内容と流れについて解説します。

アスレティックリハビリテーションの具体的な内容

アスレティックリハビリテーションの具体的な内容は、メディカルリハビリテーション(一般的なリハビリ)を施した後に、スポーツ種目の特性に合ったリハビリテーションを、医師・理学療法士と連携して実施します。

筋力トレーニングや関節の曲げ伸ばしなどの初歩的なトレーニングから、屋外での本格的なトレーニングまで、復帰する種目やレベルに応じたリハビリテーションを実施します。

アスレティックリハビリテーションの流れ

アスレティックリハビリテーションは、以下の5つの段階を踏んで実施します。

①保護期・治療期
炎症や腫れ、筋肉の腫れなどを取り除いて痛みを和らげるため、患部を温めるもしくは冷やします。さらに、無理のない範囲でのストレッチや筋力維持の訓練もおこないます。

②訓練前期・調整期
患部の腫れがなくなった段階で、患部周辺の筋力を強化して関節を安定させます。

③訓練後期・活動期
競技への復帰を目指して、トレーニングなどにより筋力を7割程度まで復帰させます。

④復帰期
競技への復帰を目指して、瞬発力やスピードを出すトレーニング、実践を踏まえたシミュレーショントレーニングを実施します。

⑤再発予防期
筋力や手先の細やかな動きを保持し、ケガや障害の発生原因や競技の特性を理解しながらトレーニングを続けます。競技復帰へ向けての最終チェックと、ケガの再発予防、ケガしにくい身体作りを並行して実践します。

アスレティックリハビリテーションを実施する上での留意点

アスレティックリハビリテーションを実施し、成果を得られるようにするためには、あらかじめ留意しておきたいポイントがあります。この章では、留意点を4点紹介します。

競技内容を踏まえたリハビリテーションを実施する事

一点目は、競技内容を踏まえたリハビリテーションを実施すべきであるという事です。サッカー・野球・陸上競技など、競技によって使用する筋肉や筋肉は異なるためです。

アスレティックリハビリテーションは、競技に合った内容のものを実施する必要があります。

リハビリ段階をチーム全員+患者で共有する事

競技者(患者)だけではなく、チームスタッフ全員がリハビリの段階を認識して共有しながら取り組む事で、効率的かつ効果的なアスレティックリハビリテーションを実践する事ができます。

リスク管理を十分におこなう事

ケガの再発や症状の悪化が起こりうるため、リスク管理の徹底が必要です。無理をせず、回復状況に応じたプログラム作りが重要です。

モチベーションやメンタルのケアもサポートする

モチベーションやメンタルのケアも重要です。アスレティックリハビリテーションは長期間に及ぶ事もあり、その場合、患者のモチベーションが低下する事が懸念されます。特に、プロスポーツや競技レベルのスポーツでは、治療に向けての焦りが患者のなかに生まれる事もあります。

アスレティックリハビリテーションでは、身体の機能の回復だけではなく、メンタルのケアもおこないます。

アスレティックリハビリテーションの担い手アスレティックトレーナーになるには

この章では、アスレティックリハビリテーションをおもに担当するアスレティックトレーナーの概要やアスレティックトレーナーになるための方法について解説します。

アスレティックトレーナーとは?

アスレティックトレーナーとは、アスレティックリハビリテーションを担う人、つまりケガや痛みのあるスポーツ選手などに対して、トレーニングやコンディショニングなどの幅広くサポートする役割の人の事を指します。

アスレティックトレーナーになるには?

アスレティックトレーナーになるために、必須となる資格はありません。しかし、アスレティックトレーナーとして活躍するために有利に働く資格は2つあります。

一つ目は、特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会の正会員になり「認定アスレチック・トレーナー:JATAC-ATC」として認定を受ける事です。

これは、柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師・理学療法士・作業療法士を取得したうえで指定の講座を受講したり、スポーツ科学系の専門学校や大学などを卒業し所定の単位を取得したりするなどの方法により取得できます。

二つ目は、日本スポーツ協会の「アスレティックトレーナー」を取得する事です。この資格は、指定の養成講習会を受講し試験に合格するか、免除適応コース承認校を卒業したのちに認定されます。

まとめ

アスレティックリハビリテーションとは、おもにスポーツによってケガをしたり不調を感じたりしている人が、競技に復帰するためにおこなうリハビリテーションの事です。機能回復だけではなく、ケガの再発防止や機能向上までを目標としている点に、アスレティックリハビリテーションの特徴が見られます。

アスレティックリハビリテーションは、アスレティックトレーナーが患者や医療従事者などとチームを組んで、段階を踏んで実践していきます。

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