柔道整復師に必要な資格の概要や取得方法・活かし方とは?

健康寿命を延ばしながら年齢を重ねて、いつまでも元気に生活したい。ほとんどの人はそう考えているのではないでしょうか。そんな現在において、高齢者人口が増え続ける中、外科手術をするのではなく骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などのケガを治療する柔道整復師の重要性が増しています。

この記事では、柔道整復師として仕事をするには国家資格が必要で、その国家資格を取得するためにどのように取り組むのが良いのか具体的に解説していきます。

さらに柔道整復師の資格が活かせる仕事も紹介します。将来の職業の選択肢として柔道整復師を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

柔道整復師になるには資格が必須

柔道整復師になるには国家資格が必要です。国家資格がなければ柔道整復師の業務をおこなえません。そこで、まずは柔道整復師の資格の概要を解説します。

柔道整復師は業務独占資格

柔道整復師は厚生労働省が所管する業務独占資格です。

業務独占資格とは、資格を保有していなければ就く事が許されない職業を指します。柔道整復師の資格保有者だけが柔道整復師の業務をおこなう事ができます。

柔道整復師の仕事でできる事

では柔道整復師としての仕事はどのようなものなのか具体的に紹介します。

柔道整復師は、整骨院・接骨院・骨接ぎなどの治療院で、骨折・捻挫・外傷などに対して専門的な施術をおこないます。外傷性が明らかな原因によって発生する骨折や脱臼、打撲や捻挫、挫傷などに対して、手術を施さない「非観血的療法」によって整復・固定などをおこないます。人間の持つ治癒能力を最大限に発揮させる施術です。

柔道整復師資格ではマッサージ業務はできない

誤解されがちですが、柔道整復師はあん摩・マッサージ・指圧をできません。マッサージは、国家資格が必要な、あん摩マッサージ指圧師の担当領域です。もちろん柔道整復師がマッサージ業務をおこなった場合は資格がありませんので違法行為になります。

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柔道整復師の資格概要

柔道整復師の国家資格の概要を解説します。

柔道整復師試験の概要

柔道整復師の国家試験は、筆記試験によりおこなわれます。

筆記試験の分野は解剖学・生理学・運動学・病理学概論・衛生学・公衆衛生学・一般臨床医学・外科学概論・整形外科学・リハビリテーション医学・柔道整復理論および関係法規です。

問題は必修問題30問と一般問題200問に分かれています。それぞれ、合格に必要となる正答率は、必修問題が8割、一般問題が6割です。必修問題と一般問題の両方とも合格基準を満たさなければいけません。

柔道整復師の試験は1年に1度実施

柔道整復師試験は、1年に1度、例年同じ時期に実施されます。令和2年度の柔道整復師資格試験の日程は、2021年3月7日(日曜日)です。

重度視力障害者は、点字での試験や試験問題を録音したDAISY-CDを利用しての受験が認められています。

試験地は、北海道、宮城県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県です。

柔道整復師の受験資格

柔道整復師の国家試験を受験するためには、次にあげる国家試験受験資格が設定されています。

大学入学資格を保有しているもので、文部科学大臣または都道府県知事の指定した専門の養成施設で3年以上柔道整復師として必要な知識および技能を修得したもの
大学(4年制)・短大(3年制)で柔道整復師として必要な知識および技能を修得したもの

柔道整復師資格取得の難易度・合格率は?最短何年で取得できる?

柔道整復師の習得難易度の目安となる合格率の年次推移を紹介します。さらに、最短で合格するために必要な年数も解説しています。

柔道整復師の合格率・受験者の推移

柔道整復師試験の過去10年の合格率と合格者数、受験者数の推移は以下のとおりです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和元年度 5,270名 3,401名 64.5%
平成30年度 6,164名 4,054名 65.8%
平成29年度 6,321名 3,690名  58.4%
平成28年度 6,727名 4,274名 63.5%
平成27年度 7,115名 4,582名 64.4%
平成26年度 6,858名 4,503名 65.7%
平成25年度 7,102名 5,349名 75.3%
平成24年度 6,503名 4,438名 68.2%
平成23年度 6,754名 5,227名 77.4%
平成22年度 6,625名 4,592名 69.3%

柔道整復師試験の受験資格を得るには最短3年の学習が必要

柔道整復師の国家試験の受験資格を得るには、文部科学省が指定する大学・短大や都道府県から指定された専門の養成施設で知識・技能を修得していなくてはなりません。その期間は最短でも3年以上となっています。

社会人が柔道整復師資格を通信や独学で取得できる?

社会人が柔道整復師資格を取得する方法を解説します。

資格未取得の社会人が柔道整復師になるには通学が必須

柔道整復師は、業務独占資格です。国家試験の受験資格取得のためには大学・短大・指定の専門施設での修業が要件として設定されているため、独学で受験資格を取得するのは不可能です。

通信講座や独学では受験資格が得られない

通信講座やオンライン講座は、柔道整復師の国家試験対策として学習度を深めて合格の可能性を高める目的で受講するものになります。
通信講座や独学では受験資格が得られないので注意が必要です。

夜間コースは仕事との両立がしやすい

柔道整復師を目指す社会人が仕事と両立させながら受験資格を取得するには、指定養成校の夜間コースを受講する方法があります。夜間コースは、授業が18時以降に組まれている事が多いため、仕事との両立がしやすくなっています。

奨学金を活用する事もできる

指定養成校で修業するには授業料が必要となりますが、金銭的な理由で修業が困難な場合は奨学金を活用する方法があります。日本学生支援機構の奨学金をはじめ、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)や学校が独自でおこなっている奨学金制度などもあります。学費に不安がある人は、ぜひ確認しましょう。

柔道整復師の資格はどのような仕事で活かせるの?

最後に柔道整復師資格で就く事ができる仕事を解説します。

整骨院・接骨院

整骨院や接骨院は、地域医療の担い手として骨や関節の痛みの治療をおこないます。柔道整復師の多くが整骨院や接骨院で活躍しています。
整骨院や接骨院に就職する方法のほかに、養成校卒業後に独立して開業する方法もあります。

介護施設

介護施設で機能訓練指導員として働く事もできます。機能訓練指導員は、介護施設などで日常的な介助が必要な利用者に対して、リハビリや機能訓練などをおこなう事で手助けします。

病院・医療施設や医療機関との連携

医師や理学療法士と連携して、患者の治療やサポートするケースもあります。「医接連携」により、広範囲な医療に直接関わる事ができます。
大地震などの災害時では、救急医療チームの一員としての活躍も可能です。

スポーツトレーニングジム・フィットネスクラブ

スポーツトレーニングジムやフィットネスクラブでのスポーツ関連施設で、テーピング技術や応急処置の技術を活かす方法もあります。スポーツ関連施設では、ケガの発生リスクがあるので、骨・関節の専門家の柔道整復師は重宝されます。

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まとめ

柔道整復師は国家資格であり業務独占資格です。柔道整復師として活躍をするためには国家試験に合格しなくてはなりません。国家試験受験の要件が定められており、指定養成校で3年以上の修業が求められています。

柔道整復師資格を取得したあとは、整骨院・接骨院・介護施設の勤務や、トレーニングジムなどでスポーツトレーナーとして働くなど、幅広い分野で専門性を発揮するチャンスが広がっています。

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