加圧トレーニングとは?メリット・デメリットや効果的なトレーニングのやり方を紹介!

加圧トレーニングは、ハードなトレーニングで得られる筋力アップと同じぐらい効果を得られる方法です。しかし、加圧の加減を間違えてしまうと、重度の疾患を引き起こしてしまう事もあります。トレーナーとして実施する場合には、適切なの知識を持ったうえで実施する必要があります。

この記事では、加圧トレーニングの効果やメリット、効果的に実施する方法について解説します。

加圧トレーニングとはどういったトレーニング法なのか?

加圧トレーニングとは、株式会社 サトウスポーツプラザ代表の佐藤義昭氏によって開発された筋力・筋肥大トレーニングのひとつです。専用のベルトを腕や脚に巻いて圧力をかける事で動脈流をゆるく抑えて静脈流のみを制限し、効果的な筋肥大・筋力アップをおこなえるというトレーニング方法です。

この加圧トレーニングのヒントは日本の伝統的な座り方である「正座」にあり、佐藤義昭氏が長時間の正座でしびれた足を和らげるためにマッサージをした際、加圧トレーニングの発想にいたったそうです。1983年から1994年の間に、ノウハウの実践と研究を積み重ね、1993年11月に日本国内の特許を出願し、1994年6月にはアメリカ、1994年8月には欧州での特許も出願しています。

加圧トレーニングは筋肉を肥大化する事にとても効果的ですが、筋肉が肥大しすぎる恐れもあるので、実施する上ではクライアントへの適切なヒアリングと、トレーニング計画が欠かせません。

特に心臓に障害がある人・悪性腫瘍のある人・妊娠している人などは、事前に医師に相談してからおこなう必要があります。

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加圧トレーニングにはたくさんのメリットや効果がある!

加圧トレーニングには、多くのメリットや効果があります。以下では、4つのポイントに分けて、加圧トレーニングのメリットと効果について解説します。

加圧トレーニングは短期間で効果を得られる

加圧トレーニングは、対象年齢やトレーニング歴に関わらず、短期間で筋力を向上させる事ができます。

例えば、平均年齢60歳の女性健常者を対象に加圧トレーニングの効果を調査した結果によれば、4か月(週2回:強度30%~50%/1RM×3セット)の加圧トレーニングを実施した結果、上腕二頭筋の筋肉の断面積と筋力はともに平均で20%増加した事が明らかになっています。
※1RMは1回しか挙上できない限界の重量

トップアスリートでも、膝伸筋の加圧トレーニングを2か月(週2回:強度20%~30%/1RM×5セット)を実施した結果、約10%の筋肉の肥大化と15%の筋力増加があった事が報告されています。

一方で、加圧をしなかったグループでは、筋肥大も筋力増加も起こらなかった事が明らかにされています。運動の刺激だけではなく血流を制限した加圧トレーニングを実施する事で、トレーニング効果を高め、短期間で効果を得られるでしょう。

加圧トレーニングをするとホルモンが分泌する

加圧トレーニングをする事で、筋肉の合成に欠かせない成長ホルモンの分泌量が多くなる事も明らかにされています。

加圧トレーニングしたときは、成長ホルモンの分泌量が安静時と比べて約290倍にまで高まるという事が実験の結果で明らかにされています。

特に高強度の加圧トレーニンググループと低強度の加圧トレーニンググループで比較した結果では、高強度のグループのほうが、成長ホルモンの分泌量は2倍多かった事が報告されています。

この成長ホルモンは、筋肉の成長を促すだけではなく、肌の細胞を生まれ変わらせたりするため、アンチエイジングにもつながります。

さらに、成長ホルモンには、脂肪分解を促す作用もあるので、ダイエットにもつながります。特に大切なポイントとして、加圧トレーニングは低負荷でも高い効果を得られるという点です。

高強度の筋トレなどでも、成長ホルモンの分泌量は高くなりますが、女性や高齢者には負荷が高く継続しにくいです。加圧トレーニングは、トレーニング初心者や運動が苦手な人でも取り組みやすいのが大きなメリットといえるでしょう。

血流が良くなり肩こりなどにも効果的?!

加圧トレーニングは、肩こりにも有効です。肩こりの原因はいくつかあって、椎間板ヘルニアや頚椎症・肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)といった慢性的な疾患が原因の場合もありますが、肩こりの大半は具体的な疾患に該当しない肩こり(本態性肩こり)がほとんどです。しかし、原因がわからないまま処置をせずにいると筋肉が緊張して固くなってしまい、血液の流れが悪くなっている事で疲労物質が溜まっていき、さらに症状が悪化してしまう可能性もあります。

血液は心臓の筋肉(心筋)が収縮する事で、血管へ送り出されます。しかし、心臓の鼓動だけでは、全身の血液を循環させる力はなく、ミルキングアクションと呼ばれる作用があって初めて血液循環が良くなります。

ミルキングアクションとは、下半身の筋肉の収縮と弛緩によって、血管が圧迫される事で、静脈の血液の流れが良くなる現象の事です。特にふくらはぎの筋肉は、血液循環で大きな役割を果たしています。そのため、加圧トレーニングで効果的にふくらはぎの筋肉を鍛える事で、血液循環が良くなって、結果的に肩こりの改善につながるのです。

低い負荷でおこなう事ができる!

一般的なトレーニングの場合、筋肥大や筋力向上には最低でも1RMの65%以上の強度でおこなう必要がありますが、加圧トレーニングの場合では、1RMの20%程度でも筋肥大や筋力が向上します。

加圧トレーニングはメリットもあるが、デメリットもある

加圧トレーニングには、多くのメリットもありますが、デメリットもあります。下記では加圧トレーニングのデメリットについて詳しく解説します。

貧血状態になる事もあるので注意が必要!

加圧トレーニングでは、貧血状態になる事もあるので注意が必要です。2017年におこなわれた加圧トレーニングの全国実態調査では、加圧トレーニングを実施している施設に対して調査を実施しています。

この調査の中で回答した232施設のうち、「加圧トレーニング実施中にあった症状」として下記のような事があったと報告されています。

貧血(85施設:37%)
皮下出血(73施設:31%)
眠気(58施設:25%)
しびれ(35施設:15%)
吐き気(34施設:15%)
かゆみ(32施設:14%) など

ただし、これらの症状のあとに、危険な症状に陥ってしまったケースはなかった事も報告されています。加圧トレーニング資格取得者が実施している施設では、効果的な加圧トレーニングの実施が可能です。

負荷の判断が難しい

加圧トレーニングは、メリットが大きい分、危険なリスクを伴うトレーニングでもあります。加圧トレーニング後に長期の運動障害を起こしてしまった事例では、15歳の男性が加圧トレーニング実施後15分後に両腕のうっ血と痛みを訴え当日入院しています。

この15歳の男性が両腕を伸ばせるまで治療が進んだのは、この症状が起きて4か月後の事だった事も報告されています。この背景には、加圧の目安となる数値を守っていても、腕の太さや太ももの太さに応じて変える必要性が指摘されている事があります。

安全性に配慮する必要があるので、加圧トレーニング学会では、トレーニング中は専門トレーナーが個別で指導する事を推奨していて、多人数を同時に指導する事は禁止されています。

加圧トレーニングの負荷を適切におこなわなければ、深部静脈血栓や肺血栓、横紋筋融解症といった、重篤な疾患を発症してしまう可能性もあります。

トレーナーによって効果の差がある

加圧トレーニングは、トレーナーによって効果に差があります。加圧トレーニング指導には、適切な指導ができるように資格制度があります。この資格は、KAATSU JAPAN株式会社から取得する事ができ、加圧トレーニングに必要な正しい知識とノウハウを学ぶ事ができます。
しかしながら、あくまで民間の資格であり、資格がなくても指導ができてしまうという現状があります。

資格がないトレーナーが、加圧トレーニングを実施した場合には、有資格のトレーナーよりも効果が得られない、もしくは危険性が高い可能性もあります。加圧トレーニングの指導を受ける際には、有資格者で経験を積んだトレーナーの指導を受けたほうが効果的です。

加圧トレーニングを効果的に上げる方法

加圧トレーニングを効果的におこなう方法として、下記の3つのポイントがあります。

  • 筋繊維を傷つけにくいトレーニング
  • 筋持久力を向上させられるトレーニング
  • 通常のトレーニングと組み合わせる事で速筋と遅筋どちらも鍛えられる

加圧トレーニングは、1RMに対して20%程度で実施するため、筋繊維の損傷が少ないトレーニングでもあります。関節や腱への負担も少なく、トレーニング後の回復も早いので高頻度で実施する事ができます。以下で2つのトレーニング目的に分けて説明しましょう。

筋持久力アップのためトレーニング方法

ランニングやステップ動作などのスポーツ競技場面での動作を取り入れた加圧トレーニングを実施する事で筋持久力を向上にもつながります。

筋力アップのためのトレーニング方法

筋力アップの場合、高重量を取扱う場合が多いため、筋損傷が激しくなってしまいます。筋力アップのあとに筋肥大のトレーニングを組み合わせようとすると、さらに筋損傷を招き、回復までに相当な時間がかかってしまいます。

しかし、最初に筋力アップの通常のトレーニングをし、最後の追い込みとして筋肥大のための加圧トレーニングをおこなえば、筋肉へのダメージが一般的なトレーニングよりも少なくなるため、トレーニング効果をより高めてくれるのです。

このように、加圧トレーニングの特性を理解してトレーニングを実施する事で、さらに高いトレーニング効果を得られるのが、加圧トレーニングの魅力です。

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まとめ

加圧トレーニングは多くのメリットがある一方、軽度な症状から重篤な疾患まで招いてしまう危険もあるトレーニングです。効果的に加圧トレーニングをすれば、トレーニング効果は非常に高くなりますので、トレーナーとして正しい知識とノウハウを覚える事は非常に重要です。

トレーニング指導をする際には、必ず勉強してから実施するようにしましょう。

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