作業療法士になるには資格が必要?資格の概要を完全網羅!

日常生活に支障をきたしている人々へ治療をおこない、自立支援や社会復帰の手助けをする作業療法士。リハビリテーションの専門家を目指す人のなかには「作業療法士になるには資格が必要なのか」「作業療法士はどのような仕事・職場で活かせるのか」など知りたい人もいるでしょう。

この記事では、作業療法士になるには資格が必要であるのかをはじめ、作業療法士になるためにどのような資格が必要なのか、作業療法士資格を活かせる仕事などについて解説します。

作業療法士になるには資格が必要?

作業療法士になるにはどういった資格が必要か解説します。そして、作業療法士の資格の意味を解説します。

国家資格がないと「作業療法士」を名乗れない

作業療法士には、国家資格が設けられています。理学療法士及び作業療法士法により、国家資格を持たないと「作業療法士」を名乗れないと明記されています。

第17条2「作業療法士でない者は、作業療法士という名称又は職能療法士その他作業療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない」とあります。

作業療法士のように、資格を持たなくても業務に従事可能であるものの、名称を名乗れない資格の事を名称独占資格といいます。

例えば、看護師が作業療法士の業務である関節稼働トレーニングのサポートや、介護士が要介護者の食事のサポートをするのは違法ではありません。

ただし、作業療法を作業療法士の有資格者以外がおこなっても診療報酬に算定されないため、報酬を受け取る事ができません。実質的に無資格者は作業療法士として就業する事ができないのです。

資格なしで「作業療法士」の求人には応募できない

「作業療法士」として求人募集がされている場合、資格が必須条件のため、応募条件を満たしません。

違反時の罰則

作業療法士の資格を勝手に名乗ると、理学療法士及び作業療法士法において罰則規定があります。無資格者が「作業療法士」を名乗った場合、30万円以下の罰金が科せられます。

作業療法士の国家試験の概要

作業療法士になるために必要な国家試験の概要を解説します。

国家試験は1年に1度実施

作業療法士の国家資格は、1年に1回実施されます。
例年同じ時期に開催され、第56回・令和2年度は2021年2月21日・22日の2日程で実施される予定です。

作業療法士試験の概要

作業療法士国家試験は、筆記試験または、口述試験および実技試験でおこなわれます。
口述試験・実技試験は重度視力障がい者が受験する試験となります。

筆記試験の試験地は、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・香川県・福岡県・沖縄県の8か所、口述試験および実技試験は東京都の1か所のみです。

筆記試験の試験には、一般問題と実地問題があります。一般問題の出題科目は、解剖学・生理学・運動学・病理学概論・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要・作業療法です。実地問題については、運動学・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要・作業療法になります。

重度視力障がい者向けの口述・実技試験では、運動学・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要・作業療法の試験がおこなわれます。

作業療法士の受験資格

作業療法士の試験を受けるためには、前提となる資格が必要です。

  • 文部科学省が指定した作業療法士養成校(4年制大学、3年制短期大学、専門学校)で3年以上作業療法士として必要な知識および技能を修得したもの
  • 外国の作業療法に関する学校もしくは養成施設を卒業、または、外国で作業療法士の免許に相当する免許を受けた者であって、厚生労働大臣が認めたもの

指定されている作業療法士の大学・短大・専門学校に最低3年以上通わなければ、作業療法士の受験資格が得られません。

作業療法士資格取得の難易度とは?

作業療法士の資格取得の難易度を解説します。

作業療法士の受験者数と合格者数の推移

過去5年の作業療法士の国家試験の受験者数、合格者数、合格率の推移をまとめたものが以下の表です。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成31年度 6,358名 4,531名 71.3%
平成30年度 6,164名 4,700名 76.2%
平成29年度 5,983名 5,007名 83.7%
平成28年度 6,102名 5,344名 87.6%
平成27年度 5,324名 4,125名  77.5%

上記のとおり、作業療法士の受験者数は一定数をキープしており、合格率は70~80%台です。

作業療法士と理学療法士との合格比率

同じリハビリ系の資格に、理学療法士があります。作業療法士と理学療法士との合格率を比較してみましょう。

年度 作業療法士 理学療法士
平成31年度 71.3% 85.8%
平成30年度 76.2% 81.4%
平成29年度 83.7% 90.3%
平成28年度 87.6% 74.1%
平成27年度 77.5%  83.0%

理学療法士のほうが、やや合格率が高い傾向が見てとれます。

作業療法士の言語聴覚士との合格率比較

続いて、作業療法士と言語聴覚士との合格率を比較してみましょう。

年度 作業療法士 言語聴覚士
平成31年度 71.3% 68.9%
平成30年度 76.2% 79.3%
平成29年度 83.7% 75.9%
平成28年度 87.6% 68.0%
平成27年度 77.5% 71.0%

平成30年度を除くと、作業療法士の合格率が上回っています。

社会人でも作業療法士の資格を取得できる?

現在、学生ではなく、社会人で作業療法士を目指している人もいるかと思います。ここでは、働きながら資格取得を目指すルートを解説します。

仕事との資格取得を両立するなら夜間コース

作業療法士になるには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した作業療法士養成校(4年制大学、3年制短期大学、専門学校)で3年以上学ぶ事が前提です。養成校のなかには夜間コースが設けられている学校もあります。
夜間コースの時間割は、授業開始時間が18時以降以降になっている事が多く、社会人にとって仕事と両立がしやすくなっています。

作業療法士の受験資格を得られる通信講座はない

資格試験対策の通信講座やオンライン講座は多数ありますが、通信講座を受講するだけでは受験資格が得る事はできません。作業療法士資格は、養成校への通学が必須条件です。

通信講座は学習理解度のアップのため

国家試験対策のため、通信講座をプラスアルファとして受講する人もいます。これはあくまで所定の施設へ通学している事を前提として、学習理解度を向上させるためのものです。

作業療法士資格を活かせる仕事とは?

作業療法士の活躍する場所としては、病院・一般診療所・介護サービス施設などがあげられます。作業療法士は、おもに以下の4つの領域の役割を担っています。

身体障がい者領域

ケガや病気、高齢などにより身体の機能が不自由な人に対して、病院や福祉施設などでリハビリテーションや日常の生活のサポートをおこないます。仕事復帰や趣味を通じた生きがいの発見など、メンタル面のケアも重要です。

高齢者介護領域

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービスセンターなどで、リハビリを通じて高齢者の身体機能の維持・向上のサポートをおこないます。身体機能の維持・回復とともに、老化による衰えに対する精神的な面でもケアをします。

精神疾患領域

精神科病院やクリニックなどで、日常生活への意欲が取り戻せるように働きかけ、不安をとりのぞけるようサポートするなどの役割を担います。

発達障がい領域

支援センターや小児病院において、発達障がいを持つ子どもに対して、子どもの集団や社会生活に適応できるようにサポートします。発達障がいの子どもは、運動機能や言語機能において困難を感じるケースも多いため、作業療法士の専門性が活かされます。

まとめ

作業療法士は名称独占業務であり、国家資格を取得しないと「作業療法士」の名称を使用できません。国家資格がないと診療報酬が得られないため、作業療法士を職業とするには資格取得は不可欠です。

国家資格を取得するには、受験資格を得てから国家試験に合格する必要があります。資格の取得後は、身体障がい者領域、高齢者介護領域、精神疾患領域、発達障がい領域などで幅広く専門性を発揮できます。

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