トレーナー向け資格

中高老年期運動指導士を解説!資格取得の手順とその内容とは?

長寿の国日本では、老後への健康意識が高り「いつまでも自立して生活していきたい」と、考える中高老年者が増えています。そんな中高老年者の健康管理をサポートする「中高年老年期運動指導士」についての資格取得の手順も含めご紹介していきます。

1) 中高年老年期運動指導士とは?

「公益法人日本スポーツクラブ協会」が主催している民間資格です。この資格は、中高老年期の一般的な運動方法をより専門的に指導する事を目的としています。

資格取得試験の概要

(1)受講内容
中高齢・老年期を迎える人々の健康の維持増進を目的とした運動指導の新しい理論と実技の習得

(2)対象者
中高齢、老年者の健康・体力つくり指導に携わっている方、もしくは携わろうとしている満18歳以上の方

(3)講義
「障害・健康スポーツ論」「高齢・老年期身体正論」「運動欲求創設論」「健康の維持と食生活習慣」

(4)実技
「運動実施実技」「各種運動実施形態」「運動外傷・障害予防論および救急救護など」

(5)合格基準
講習を受けて、レポートを提出するのみです。講義さえしっかり受けていれば、まず問題ありません。

(6)合格率
ほぼ100%です。講義中の内容を理解し、最後にレポートを協会事務局に提出すれば、合格証が送られてきます。それで資格取得できます。ただし、講習に遅れたり、欠席することだけは避けてください。これは大きなマイナスポイントです。予定管理体調管理には十分気をつけてください。

(7)受験場所や日程
東京で年2回、大阪で年1回です。詳しい日程は、協会事務所にお問合せください。

(8)受講料
一般受講料(テキスト代)

協会維持会員・指導者会員、高齢者体力テスト指導認定者にも受講料が掛かります。
資格取得希望者は上記参加費の他にレポート審査料、認定料、登録費4年分が掛かります)

1日目
生涯・健康スポーツ論
運動外傷・障害予防論および救急救護
身体の気づきや動きのやわらかさを高める

2日目
中高老齢期の身体特性正論
運動学における動感修得への道
健康維持と食習慣
活動の源となる体力を高める運動実践

2) 生涯健康スポーツ概論等の講義

老人 体操

生涯スポーツの概念化健康な体を保つための食生活の習慣、トレーニング方法の原則などについて学びます。

中高老年期運動の効果と留意するポイント

ここでは講習を受ける前の基礎知識、具体的な運動技術や理論などを深めていくことに重点を置いてご紹介していきます。

(1)生活習慣が改善される効能
まず、体脂肪についてです。もう聞き飽きた、という方もいるでしょうが長年研究されてきたこの分野には、たくさんのノウハウが蓄積さてれいます。体脂肪が減少すると、肥満や生活習慣病が改善されます。肥満や様々な生活習慣病が改善され、血糖値や中性脂肪などの脂肪を下げ、HDLコレステロールを増やして、動脈硬化を予防します。

(2)中高老年運動はまず有酸素運動から
長距離ランナーのような有酸素運動を続けている人は一般の人に比べ酸素を取り込む量が多くなります。つまり、一回で身体に送り込まれる酸素の量も多くなるという訳です。当然、血中の酸素量が増えるので心筋梗塞やある種のガンになるリスクも少なくなるということです。中高老年の方にお勧めする理由は、血流をよくすることで、生活習慣病や予期せぬ大病を患うことにならないと考えられるからです。

中高老年から始める有酸素運動

先ずは、ウォーキングやジョギングなどの軽い運動から始めましょう。可能であればジムのランニングマシーンがお勧めです。疲れたらその場でリセットできるのが利点だからです。疲れた体を引きずって帰るのはしんどいですから、スタート地点に戻らずにその場でやめられるのはウオーキングマシンのいいところです。

体が運動になじんできたら、徐々にバイクやスイミングにも挑戦してみて下さい。

体に取り込める酸素量は一度にどのくらいか決まっていると言いましたが、フィットネスを続けて行くことで、取り込める酸素量は増します。その結果、心筋梗塞やガンなどにかかるリスクは低くなるといわれています。ここはしっかりと押さえておきましょう。

肥満は不健康の象徴

内臓脂肪型肥満を減らすのは難しい?結論から言えば落ちやすい脂肪と言われています。

ここで、気を付けてほしいのは、皮下脂肪などとくらべて内臓脂肪の方が、有酸素運動を行う事により落ちやすいということです。何もせず簡単に落ちるという意味ではありません。

食事中の脂肪を減らす

植物油は大さじ一杯で約130Kcalあります。てんぷらや揚げ物などの油にはたくさんの油を使うことになります。しかし、網焼きや炒め物でその量を減すことはできます。調理方法を工夫することはとても大切です。

マヨネーズや、ドレッシングアイスクリーム、なども脂肪が多い食べ物です。一日に摂取する脂肪は、一日の食事の25%程度に抑えておくのが理想だと思います。

意外と多い中高老年の運動時間

60~69歳では42.4%、70歳以上だと53.6%と、半数以上の高齢者が週3日以上スポーツを楽しんでおり、30~39歳の12.4%、40~49歳の17.4%と比べても非常に多いのが分かります。

これを見ても中高老年層の健康への意識の高さが伺えます。やはり生きていくうえで、自立して歩く移動できというのは生活の基本です。そのためには、いかに足腰を衰えさせないかが大切になります。

3) 運動で期待できる事は?休憩時に簡単にできる運動方法

年寄り フィットネス

加齢に伴う運動能力の低下を防ぐための運動実践講習です。先に述べた様に、高齢者の運動時間は比較的長いと言われています。しかし、時間が長ければいいという訳ではありません。運動の方法を工夫し効率的に強化していく事が大切です。ここでは、足腰の筋力を強化する方法を紹介します。

足腰を鍛える大切さ

年齢とともに気になるのが足腰の衰えです。最近はパソコンなどの電子機器がないと仕事ができません。特に事務職などデスクワークが多い方は、足腰の筋力は衰えがちです。

脚には様々な筋肉がついていますが、その中でも大腰筋は太腿から骨盤の横を通って背骨までを繋ぐ大事な筋肉です。歩く際にとても重要な筋肉で、この筋肉を鍛える事で、歩く動作が安定します。

以下に、椅子に座ったままや、休憩時間などに関単に出来る運動を紹介します。

(1)大腰筋は負荷をかけることによって、大きく力強くなります。椅子に座って膝を曲げたまま持ち上げ、更に上から膝を押すように負荷を掛けます。
(2)脚を肩幅よりも少し広めに広げ、中腰に立ちます。姿勢が不安定になる方は椅子などにつかまって行って下さい。無理のない間隔で数回繰り返しましょう。
(3)洋式の便器で立ち上がる、座るを繰り返すのも簡単で手軽な運動です。
(4)これらの運動に加え、相撲のしこを踏むような姿勢で骨盤を左右に軽く振ることで柔軟性も出てきます。余裕のある方は試してみて下さい。

4) 運動中の外傷の救急救護方法とは?

ストレッチボール 女性

運動によって、次第に筋力や柔軟性が向上していきます。それによって健康に対する自信もついてきますが、その気持ちが裏目にでて、やり過ぎてしまう事があります。それがケガや事故に繋がってしまうのです。ここでは、万が一、クライアントがケガをしたり、事故が起きてしまったときの対処方法を紹介します。

骨折・脱臼

幹部に腫れが見られたら、その部分を氷などで冷やします。骨折の疑いがあるときは添え木(段ボールなどでもいいです。)をして安静にさせましょう。

打撲

手足の場合は幹部を冷やせばとりあえず大丈夫です。しかし、頭部の場合は不用意に動かさず、まず意識があるか声掛けして確認します。その後すぐに救急隊を呼びましょう。

異物除去

首を手で押さえている場合は要注意です。背後に回ってへそのあたりを持ち、引き上げます。または、後ろから背中の堅甲骨あたりを強くたたいてください。

搬送

一人の場合は「背負う」「抱き上げる」「後ろから引きずる」などがありますが、負傷者の状態を確認しながら方法を選択してください。二人、三人ではお互いの役割を確認しながら慎重に運びましょう。息が合わないと脱落させてしまったりと、返って怪我をひどくさせてしまいかねません。

止血

(1)直接止血法:包帯やガーゼを直接傷口に押し当てる方法です。
(2)関節圧迫止血法:傷口を直接圧迫し、心臓に近い動脈を抑える方法です。
(3)緊急止血法:四肢などの切断時に行うもので、まずは心臓に近いところの動脈を包帯などで強く絞め、救急隊を待ちましょう。

三角巾の作り方

四角の布があれば三角に折り、頂点を手首の側にして両端を首に回して結びます。

心肺停止

運動の前にはAEDを常に準備しておきましょう。電気ショックは時間との勝負です。慌てずに機器の音声に従って行ってください。

5)中高老年者期運動指導士Q&A

ここでは中高老年者期運動指導士についての質問にお答えします。

【Q1】中高老年期運動指導士の資格取得のメリットを教えてください

中高老年期運動指導士の資格を生かす場としては、介護施設などのリハビリ分野です。どんな資格でもそうですが、資格さえ取ればそれで終わりという訳ではありません。

この資格をきっかけに、中高老年者にとって無理のない筋力維持の運動や健康的な食事を指導できるように、常に新しい情報の収集を心がけるようにして下さい。確かな技術を身に着けることで、一人でも多くの人が健康な老後を過ごすことができたら素晴らしいことです。今後の高齢化社会に貢献できる、やりがいのある仕事です。

【Q2】講習後のレポートはどうやって書けばいいのでしょうか?

講習の日程は2日間です。科目は多いですが、それだけに細部にわたって講義をするには時間は限られてくるでしょう。講師の話をしっかりと聞いて、ポイントとなるところをメモして押さえておきましょう。そのポイントをまとめてレポートを書く事はそれほど難しくはないはずです。

【Q3】人に指導した経験がないので不安です。なにかコツのようなものはありますか?

トレーナーには、それなりの技術や知識が必要です。でも、それは経験を積んでいけば自然と身に付くものです。一番大事な事はコミュニケーション能力です。特に中高老年期運動指導士の場合は、クライアントが自分よりも年上の方が殆どです。ですから、クライアントがいままで経験してきたことは、ある程度尊重してあげることが大切です。その上で自分の持っている知識をプラスアルファとして伝えていくと良い結果が出るでしょう。

時には、人生相談に乗ってもらうのもいいかもしれません。コミュニケーションとしても大切ですが、クライアントにとっても記憶を思い出して整理する事は、脳の働きにも良い効果が期待できます。

中高老年期運動指導士は比較的取得が楽な資格です。しかし、その実務は非常に奥が深く、日々の努力が欠かせません。まだまだ世間の認知度は低いものの、今後、医療や介護の場で活躍が期待される資格です。介護される前に、健康な体を維持し続ける事。それは誰しもが望むことです。

その為にも、この資格の重要性が認知され、もっと活用されていけば、これからの高齢化社会に大きく貢献できる有望な資格となるでしょう。多くの人に関心を持ってもらいたい大切な資格といえます。

<参考サイト>
【公益財団法人日本スポーツ協会】
URL:http://www.jsca21.or.jp/
【日本赤十字 応急手当】
URL:http://www.jrc.or.jp/activity/study/safety/fracture/

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