日本スポーツ協会が発行する13種類の資格を解説
インターネットで「スポーツ 資格」と検索すると、「スポーツ資格一覧」「フィットネストレーナー」「ヨガインストラクター」「フィジカルトレーナー」などたくさんの資格が表示されます。
しかし、それらの資格を取得する為の学校・団体が多過ぎて、どこで勉強すればいいか困ってしまいますよね。そこで、今回は、日本のスポーツ団体の代表ともいえる「公益財団法人日本スポーツ協会」の公認指導者資格の種類とその内容について解説します。
1)今更聞けない?日本スポーツ協会(JSPO)とは
公益財団法人日本スポーツ協会は、平成23年に創設100周年を迎えました。協会の理念は大きく3つあります。ひとつは「公正で福祉豊かな地域生活の創造」ふたつめは「環境と共生の時代を生きるライフスタイルの創造」そして「平和と友好に満ちた世界の構築」です。これらを実現させるため、日本スポーツ協会は「スポーツ宣言日本」を公表しました。
※公益財団法人日本体育協会は2018年4月1日に日本スポーツ協会に名称変更しました
さらに子どもから高齢者まで、人種・国籍・性別・障がい者や疾病の有無に関わらず、誰もが生涯にわたってスポーツを安全に、楽しく「する・みる・ささえる」という環境を整備していくための事業を推進しています。
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2)日本スポーツ協会公認のスポーツ指導者資格とは
日本スポーツ協会のスポーツ指導者資格(以下スポーツ指導者)は、スポーツリーダーから上級コーチ・上級教師までいくつかの段階に分かれ、それぞれに定められた共通科目と競技や各資格ごとの専門科目の講習を受講、修了する必要があります。
また、日本スポーツ協会が実施する講習と同じカリキュラムを実施している学校(免除適応コース承認校)の科目を履修することで、日本スポーツ協会の講習や試験の一部・または全部が免除されます。
スポーツ指導者の共通科目カリキュラム
日本スポーツ協会のスポーツ指導者は13の資格に分類され、目指す資格のレベルごとに共通する知識を積み上げていきます。それを学ぶ共通科目は1~4段階になっていて、すべての資格に共通して必要な知識を学ぶのが「共通科目1」です。では各段階ごとに、共通科目のカリキュラムを見ていきましょう。
(1)共通科目1
・文化としてのスポーツ
・指導者の役割1
・トレーニング論1
・スポーツ指導者に必要な医学的知識1
・スポーツと栄養
・指導計画と安全管理
・ジュニア期のスポーツ
・地域におけるスポーツ振興
(2)共通科目2
・社会の中のスポーツ
・スポーツと法
・スポーツの心理1
・スポーツ組織の運営と事業
・対象に合わせたスポーツ指導
(3)共通科目3
・指導者の役割2
・アスリートの栄養・食事
・スポーツの心理2
・身体の仕組みと働き
・トレーニング論2
・競技者育成に必要な指導法
・スポーツ指導者に必要な医学的知識2
(4)共通科目4
・トップアスリートを取り巻く諸問題
・指導能力を高めるためのスキルアッププログラム
各資格と共通科目との関係
では、スポーツ指導者資格の13種類ごとに、共通科目1~4との関係について説明します。
(1)スポーツリーダー
(2)ジュニアスポーツ指導員
(3)指導員
(4)アシスタントマネジャー
(5)クラブマネジャー
(6)スポーツプログラマー
(7)上級指導員
(8)アスレティックトレーナー
(9)コーチ
(10)教師
(11)スポーツ栄養士
(12)上級コーチ
(13)上級教師
このように、スポーツ指導者は分類されています。スポーツ指導者を取得しようとする人は、共通科目1を取得しなくてはいけません。
(1)のスポーツリーダーの資格は「共通科目1」を受講・修了することで取得できます。共通科目1を取得したあと、各専門科目を履修することで取得できるのが、(2)~(5)です。(6)と(7)は、更に「共通科目2」を受講・修了する必要があり、(8)~(11)になるためには「共通科目3」を受講・修了しなくてはいけません。最後の「共通科目4」については、(12)の上級コーチと(13)の上級教師になるためだけに必要な科目です。
3)スポーツ指導者の資格と役割を解説
スポーツ指導者の種類が13種類あることは先ほど説明しましたが、これらの資格はそれぞれの役割ごとに7つにまとまっています。
スポーツリーダー
地域住民のために、スポーツを生活に定着させるために、サークルやグループのリーダーとしてスポーツの指導を行う。
マネジメント資格
総合型地域スポーツクラブなどにおいて、地域の人たちやクラブ会員が快適なスポーツライフを送れるように、スポーツに関する基礎知識・施設創設のノウハウやマネジメント能力を備えた資格者のことです。
(1)クラブマネジャー
この資格では総合型地域スポーツクラブなどの健全なマネジメントを行い、地域住民やクラブ会員が継続的に快適なスポーツライフを送ることができるよう、経営資源を適切に確保し、円滑に活用できる能力を有することが求められます。
(2)アシスタントマネジャー
総合型地域スポーツクラブなどのマネジメントの基礎的知識を有したもので、スポーツクラブ等の運営を行うクラブマネジャーのサポートを行います。
フィットネス資格
フィットネスの専門的な知識を有し、個々に応じた専門的な指導ができることが求められます。また、ジュニアスポーツにおいては、発育発達期のからだづくりのノウハウや心のケアができる知識や技能がなくてはいけません。
(1)ジュニアスポーツ指導員
幼少期(およそ2~15歳)における活動プログラムに関する知識を有し、発育発達期のからだと心の特徴を踏まえた指導ができること。主に遊びを通じて子どもがスポーツに親しみ、身体づくり・動きづくりの指導を行えること。
(2)スポーツプログラマー
主として青年期以降のすべての人に対して、スポーツなどを通じて、フィットネスの維持や健康のための指導や助言を行います。
メディカル・コンディショニング資格
医学的な立場から、競技者の健康管理や能力向上のためのサポートをします。スポーツ医学・科学の知識を有していて、医師・歯科医それぞれの分野で競技者のケガの治療・予防・教育を行います。
(1)スポーツドクター
スポーツ医学、ドーピング防止の知識、運動処方の知識を有していること。スポーツマンの健康管理とスポーツ障害や外傷治療や予防を行い、スポーツ医学の研究や教育、普及を行います。
(2)スポーツデンティスト
スポーツに関する歯科の専門的知識、マウスガードに関する知識と作成方法の技術があり、歯科医の立場から、スポーツマンの健康管理を行います。
(3)アスレティックトレーナー
スポーツ外傷・障害の救急処置や予防の知識・技術を有すること。また、スポーツドクター・コーチと連携し、競技者の健康管理・外傷・予防・リハビリテーション・体力トレーニング・コンディショニングを行ないます。
(4)スポーツ栄養士
スポーツに関係する医学的知識と他の知識との連携ができること。また競技者に栄養教育、指導を行うことで、競技者の栄養への意識向上と食事環境の整備を行います。
競技別指導者資格
競技別の専門的な知識と能力に基づく高いコーティング能力を持ち、発育発達・加齢などの年齢段階や、技能レベルおよび志向に応じた指導ができる資格者のことです。
(1)指導員
スポーツに関する基礎的な知識を有し、子どもや初心者などに専門的な技術や知識を生かした指導ができる資格者のことです。
(2)上級指導員
多様なニーズに対する指導法を備え、スポーツ教室やイベントの企画立案をします。地域のスポーツクラブやスポーツ教室の指導などにおいて中心的な役割を担います。
(3)コーチ
国内大会レベルの競技者に対する高度な指導法を身につけており、育成を行います。また、広域地域をまわり、高いレベルの競技者の指導も行います。
(4)上級コーチ
国際大会レベルの競技者の育成、高度な指導法を身につけており、国際大会の監督やコーチとして、競技者が最高のパフォーマンスが出せるように組織的に指導を行います。
(5)教師
商業スポーツ施設において、競技別の専門的指導者として、個々人のレベルや年齢に合わせた質の高い指導を行います。競技者育成のプログラムの理念と方法・ホスピタリティの知識が求められます。
(6)上級教師
スポーツの各種事業に関する計画の立案、指導方法の決定など組織内の中心的な役割を担います。商業施設の健全な経営に関するノウハウが求められます。
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4)日本スポーツ協会に関するその他のQ&A
日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者資格について解説してきました。以下、疑問点についてお答えします。
【Q1】日本スポーツ協会の資格は学校でも取れるとありますが、スポーツ専門の学校でないと資格は取れないのですか?
日本スポーツ協会では、スポーツに関する資格ごとのカリキュラムがあり、スポーツの技術的なものから、施設の経営力を育成するものまであります。そのため、免除適応コース承認校も経済を学ぶところもあります。目的に合った学校を選んでください。
【Q2】公認スポーツ指導者は全国にどのくらいいるのですか?
平成30年10月1日現在、日本スポーツ協会公認のスポーツ指導者は553,475名です。
【Q3】ジュニアスポーツの指導で注意する点を教えてください。
ジュニアスポーツの指導をしていて、一番気になるのがケガや事故です。まずは参加している子どもがイヤイヤやっていないかを観察し、意思・健康状態に十分配慮してください。技術の向上ばかりに目がいってしまい、つい子どもに心的なストレスをかけている場合もありますので、暴力的な発言や行動には気を付けてください。また、保護者などの理解が十分かも確認することが大切です。指導者はこうしたクラブ全体の状況を掌握し、指揮監督することが求められます。
今回は、日本のスポーツ団体では最も権威があるであろう日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者の資格を紹介しました。日本スポーツ協会は歴史も古く、著名な指導者、コーチも多く輩出しています。その点で確かな技術や知識、スキルを身につけることができる団体と言えるでしょう。また、コーティングからスポーツ医学・施設経営まで幅広く学ぶことができるのも魅力のひとつです。
2020年東京オリンピックでは、日本スポーツ協会公認のスポーツ指導者が多く活躍するはずです。競技の話題だけでなく、そちらにも注目していきましょう。
<参考URL>
・公益財団法人日本スポーツ協会ホームページ