健康運動実践指導者とは?合格率・資格取得の3ステップ・活躍できる職場を解説
健康な体を維持するために運動をするということはとても大切なことです。体を動かすことが大好きだという人は、自分の体だけではなく他の人の体も、健康を維持するために指導するという仕事に魅力的を感じることがあります。そこで、今回はそんな人に役立つ健康運動実践指導者の資格についてご紹介します。
1) 健康運動実践指導者とは?
健康運動指導士とは違う、健康運動実践指導者という資格をご存知でしょうか。
運動による健康づくりを実践・指導することができる
そもそも健康運動実践指導者とはどんな資格なのか、知らないという人もいますので、最初に健康運動実践指導者の資格についてご紹介します。健康運動実践指導者の資格とは、公益財団法人健康・体力づくり事業財団の民間資格で、「積極的な健康づくりを目的とした運動を、安全かつ効果的に実践指導できる能力を有すると認められるもの」というものです。
運動は、もともと趣味としてやる人もいますが、ほかにも健康な体を維持するために行うという人もいます。運動をするということは体にいいのはもちろんですが、精神的な健康を守るという意味でもとても大切な事です。
しかし、運動をするという事に慣れていない人が運動をすると、正しい運動方法がわからず、かえってケガをしてしまうことにもなりますので、健康のために運動をするのであれば、プロの指導を受けるのが最も安全で安心です。そのプロというのが、健康運動実践指導者の資格を持つ人のことです。
健康運動実践指導者の資格を持つ人は、フィットネスクラブやアスレティッククラブ、病院や診療所、介護施設や福祉施設、学校などで、積極的な健康づくり運動を、安全かつ効果的に指導することができます。
健康運動指導士とは少し違う
健康運動実践指導者は似たような名前の「健康運動指導士」という資格についても触れておきます。実は、健康運動実践指導者も健康運動指導士も同じ「公益財団法人健康・体力づくり事業財団」の資格ではありますが、名前が似ていても内容は少し異なります。
どちらも名前のとおり運動指導者の為の資格ではあるのですが、細かく定められている受験資格などを見ると、健康運動実践指導者の方が資格取得の難易度が高いようです。
パーソナルトレーナーの資格ではない
健康運動実践指導者は、スポーツをライフワークとして行っているアスリートのサポートではなく、どんな人に対してもできる運動の普及、国民の健康づくりといった役割があります。ですので、個人的に利用者にフィットネスの知識を使って指導するといったパーソナルトレーナーの資格ではありませんので、この資格さえ持っていればパーソナルトレーナーとして活躍できるというものではありません。
しかし、パーソナルトレーナーも利用者が無理なく安全に運動して、健康を促進できるサポートをするという意味合いでは役割としてはかなり近いものがあるので、パーソナルトレーナーの活動をする上で持っていても損はない資格です。
2) 健康運動実践指導者の資格取得は難しいの?
次に、健康運動実践指導者の資格を取得するために知っておくべき情報をお伝えします。
健康運動実践指導者の合格率って?
気になる健康運動実践指導者の合格率は、だいたい70~80%程度です。しっかり勉強した人にとっては決して難しい試験ではありませんので、ご安心ください。健康運動実践指導者とは多くの人に健康になってもらうための、運動指導を実践していくという目的で作られた資格です。
試験に合格すること自体はそこまで難しいことではありませんが、健康運動実践指導者に求められる能力としては、現場での指導能力が要求されます。健康運動実践指導者の資格を持って活動する際、利用者にわかりやすく指導をするためには、正しい健康運動に関しても知識を持っているということだけではなく、いかに利用者に指導内容を理解してもらえるかという説明力も問われます。
そのため、実際に健康運動実践指導者として活躍するのであれば試験合格はゴールラインではなく、実績を重ねていくためのスタートラインだといえます。
健康運動実践指導者の試験内容って?
健康運動実践指導者の試験内容を事前に知る事ができれば、試験対策ができて安心です。ここでは、健康運動実践指導者の試験についてご紹介します。
(1) 実技試験
健康運動実践指導者には実技試験があります。実技試験は、複数人の被指導者に対して陸上運動または水中運動のいずれかを選択して、2分以内レジスタンストレーニングと3分以内有酸素性運動の指導の実技を行い、指導能力を審査する試験です。
(2)筆記試験
健康運動実践指導者には筆記試験もあります。筆記試験は「理論」と「実技」の項目に分かれていて、パソコンで5択から1つを選択する方式です。それぞれの得点が60%以上で合格となります。
健康運動実践指導者の受験資格ってあるの?
先ほど、健康運動実践指導者と健康運動指導士の違いをご紹介した時に、健康運動実践指導者には細かい受験資格があるということでご紹介しました。健康運動実践指導者を取るためには、以下のいずれか1つの条件を満たしていることが必要です。
・体育系短期大学又は体育専修学校(2年制)、もしくはこれと同等以上の学校の卒業者(卒業見込み含む)。
・3年以上運動指導に従事した経験のある者
・運動指導に関連する資格を有する者
※エアロビックダンスエクササイズインストラクター、スポーツプログラマー、フィットネストレーナー、ヘルスケア・トレーナー、アスレティックトレーナー、運動普及推進員など
・保健医療に関する資格を有する者
※保健師、管理栄養士、看護師、准看護師、助産師、薬剤師、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師、介護福祉士、介護支援専門員、保育士、介護職員実務者研修修了者(ホームヘルパー1級)、介護職員初任者研修修了者(ホームヘルパー2級)など
・学校教育に関する資格を有する者
※幼稚園教諭、小・中・高等学校教員免許。
また、必須条件ではありませんが、非喫煙者であることが望まれるともあります。
健康運動実践指導者の申込方法
健康運動実践指導者の受講、受験をするためには、受講、受験申込書を申込受付期限内に、郵送で提出する必要があります。申込みに必要な書類は、申込書に記載してありますので、その他必要な書類も忘れずに同封してください。申込書は公益財団法人健康・体力づくり事業財団の健康運動実践指導者の公式HPからダウンロードすることができますので、そちらからプリントアウトしてください。
参考:【健康・体力づくり事業財団】
実は、健康運動実践指導者は申込書を送ればだれもが受講できるというわけではありません。送られた書類から先着順で受講資格を有していると認められる人を受講者と決定し、本人宛てに通知されます。定員を超える申込みがあった場合には、キャンセル待ちとなることもあります。
健康運動実践指導者の受講、受験日程や会場は?
(1) 日程
開催地によって若干変動がありますが、基本的には下記の日程で行われることがほとんどです。
【前期・通年】2月~3月
【後期】8月
(2) 会場
健康運動実践指導者の会場はこちら年によって若干変動がありますが、基本的には下記の会場で行われることが多いです。
・東京
・大阪
・福岡
・仙台
3) 健康運動実践指導者の資格取得までの3ステップ
健康運動実践指導者の資格取得まで講習会・認定試験・健康運動実践指導者の称号を取得の3つのステップがあります。
STEP1: 講習会
健康運動実践指導者の受講、受験申込をして、受講者として認定されたらまずは、9日間で全33単位の講習会を受講します。ただし、健康運動実践指導者養成校として認定されている大学や専修学校に通学している場合には、講習会を受講する必要はありません。
STEP2: 認定試験
定められている全33単位の講義を受講したあとには、いよいよ認定試験です。試験内容は、実技試験と筆記試験となっています。
STEP3: 健康運動実践指導者の称号を取得
合格したら、健康運動実践指導者の登録をして健康運動実践指導者の称号を取得します。なお、健康運動実践指導者は5年間有効で、所定の講座を受講することで資格を更新することができます。
4)健康運動実践指導者の資格が役立つ場所は?
健康運動実践指導者の資格にはどのような場所で活躍できるのでしょう。
フィットネスクラブやアスレティッククラブ
では、健康運動実践指導者の資格を取得した時にどんな業界で活躍することができるのでしょうか?ここでは、健康運動実践指導者の資格を役立てることできる場所についてご紹介します。やはり運動を指導する場所といえばフィットネスクラブやアスレティッククラブが挙げられます。
先ほども、少し触れましたが健康運動実践指導者の資格は、パーソナルトレーナーの資格ではありませんので、健康運動実践指導者の資格だけでフィットネスクラブやアスレティッククラブで活躍できるというわけではありません。
ですが今は体を鍛えたいという人もいれば、健康に長生きしたいという思いから運動不足になりがちな生活を改善するために、フィットネスクラブやアスレティッククラブを利用するという人も増えています。そういった人たちに対しては、美しい筋肉をつけるためにフィットネスクラブやアスレティッククラブを利用する人と、目的が異なりますので指導する内容も変わってきます。
そういった幅広い需要に答えられるように、フィットネスクラブやアスレティッククラブで働く人でも健康運動実践指導者の資格を持っていて損はないという事がいえます。
病院・診療所・介護施設・福祉施設
健康運動実践指導者の資格は、フィットネスクラブやアスレティッククラブだけではなく、高齢者や障害者の集まる病院や診療所、介護施設や福祉施設などでも役に立ちます。
健康運動実践指導者は、体を鍛えるという目的ではなく、運動をすることで健康促進に役立てるということが最大の役割です。
高齢者や障害者はどうしても体を動かす機会が少なくなりがちで、そこから体の不調が出たりしてしまうことが多いです。
そこで、高齢者や障害者にも無理のない運動で健康を促進するために病院や診療所、介護施設や福祉施設でも健康運動実践指導者の活躍の場があります。
学校
そして、もう1つは学校です。近年では、スマートフォンやゲーム機の普及により外で遊ぶ機会が少なくなっていて、子どもたちのスポーツテストの結果も低下し続けています。これは子供の運動不足が原因と言われており、学校で運動をして健康な体を作るということを指導する、健康運動実践指導者の力が必要となります。
そのため、学校で働く教員が健康運動実践指導者の資格を取得して日々の授業に役立てる、といったケースも増えています。
5)健康運動実践指導者の資格取得のコツは?
資格取得に関して、押さえておきたい3つのコツ!
ポイント1:テキストをひたすら読む
では、健康運動実践指導者の資格取得のコツについてご紹介します。資格取得には、勉強をすることが重要なのは当然ですが、働きながら資格取得を目指す人にとっては、勉強をする時間を確保するということがとても難しく、挫折してしまうという人も多いです。そこで、忙しくても飽きずに勉強ができるようにする事がとても大切です。
健康運動実践指導者の資格にはテキストと問題集があります。まずは、テキストをすべて読んでみてください。内容が覚えられなくてもテキストにどんなことが書かれているかを知ることが大切です。テキストを読む時間は1日のうち少しでもかまいません。
たとえば、通勤中の電車の中や昼食の時、そして寝る前の30分間など短い時間でもかまいませんので、必ず1日1回はテキストを読むということを資格取得まで続けてください。そのうち自然とテキストの内容が頭に入ってくるようになってきます。
ポイント2:講義を受講後に問題集を解いてみる
健康運動実践指導者の資格には、全33単位の講義がありますが、その講義を受けたらテキストを見ず、問題集を解いてみてください。最初のうちは答えられなくても落ち込まず、問題集を解いて自分のニガテな場所、なかなか覚えられていない項目について知ることがとても大切です。
ポイント3:正解率が低い場所から順番にマスターしよう
問題集で間違えてしまった部分には、付箋でマークを付けてすぐにわかるようにしておきます。問題集を解き終わったら、間違えてしまった部分をテキストを読み直しながら正解できるまで解き続けます。間違えずに答えられるようになったら付箋を外していき、不正解を少しずつ減らしていきます。
勉強をしていくうちに、不正解の付箋が減っていくので目に見える成果があるのでモチベーションが上がります。
6)健康運動実践指導者に関するその他のQ&A
健康運動実践指導者に関して解説してきましたが、ここではよくある質問について解説していきます。
【Q1】「健康運動指導士」と「健康運動実践指導者」の資格を両方取得するメリットはありますか?
ここまで紹介してきた健康運動実践指導者、そして少し難易度が低い健康運動指導士の資格を両方取得するメリットについてですが、当然資格は持てるだけ持っていた方が何事にも有利になることは間違いありません。
ただ、健康運動実践指導者も健康運動指導士も民間資格ですので、関係者以外にはあまり知られていない資格でもあります。そんな健康運動実践指導者も健康運動指導士も両方持っていると有利になる業界といえば、主にスポーツクラブなどが挙げられます。
あとは、福祉の世界や介護の世界で活躍したいという人や学校の教員として活躍したいという人は、補助として、健康運動実践指導者や健康運動指導士の資格を持っていると、より自分の能力を証明できるのでおすすめです。
【Q2】健康運動実践指導者になるための講習は地方でも開催されていますか?
すでに平成30年度の受付は終了していますが、講習会は東京、仙台、大阪、福岡などで開催されていることが多いです。地方だと講習会の会場に行くまでが大変・・・という場合もあるので、注意して下さい。