STOTT PILATESの資格とは?特徴・取得方法・他資格との違いを解説
ピラティスインストラクターとしての成功を目指している人にとって、資格取得と資格選びは非常に重要です。
今回の記事では、世界的に評価が高いSTOTT PILATESの資格について、資格の特徴や取得方法、他の団体のピラティス資格との違いなどをまとめます。
資格を選びで迷っている方はぜひ一読し、参考にしてください。
STOTT PILATESとは?
STOTT PILATESは、ダンサーだったモイラ・メリシュー(旧姓Stott)と夫であるリンゼイ・メリシューによって1988年にカナダのトロントで立ち上げられたピラティスの教育団体です。
モイラは自身がケガしたことをきっかけにピラティスに出会い、ピラティスのリハビリ効果を実際に体験して感動したといいます。
その後モイラは、ジョセフ・ピラティスが考案したオリジナルのピラティスを本格的に学び始めました。
STOTT PILATES設立後に開発した、ジョセフ・ピラティスのメソッドを基盤にしつつ、現代の科学的なアプローチを取り入れたより安全で効果的な新しいエクササイズは、現在でもピラティス業界やリハビリ業界で高く評価・支持されています。
本項では、STOTT PILATESについてさらに詳しく知るため、
- STOTT PILATESの概要と特徴
- モダンピラティスとしての独自性
- 世界的な評価と指導者数
の3点に焦点を当て、以下で詳しく解説します。
STOTT PILATESの概要と特徴
STOTT PILATESの最大の特徴は、従来のピラティスに現代の理学療法や解剖学などのバイオメカニクスを取り入れ、現代人の身体の構造や動きの特性に合わせた修正を行うことで安全性の高い指導法を実現していることです。
そのため、STOTT PILATESで資格取得をすると、ピラティス初心者のお客様からプロのアスリート、またリハビリテーションを必要とする患者様など、幅広い層の顧客に対して安全で質の高い指導を提供できるようになります。
STOTT PILATESの教育は、国際的に見ても最高レベルとして評価されています。
また、STOTT PILATESのエクササイズは、怪我のリスクを避けて筋骨格を効果的に動かすことで、体幹の強化、姿勢の改善、柔軟性を向上させることを特徴としています。
モダンピラティスとしての独自性
STOTT PILATESはモダンピラティスとしての独自性を持ちます。
STOTT PILATESは、モダンピラティスと呼ばれることがあります。それに対して、ジョセフ・ピラティスが提唱したオリジナルのピラティスはクラシカルピラティスと呼ばれます。
クラシカルピラティスは、決められた順序や方法でエクササイズを行うことを特徴としますが、モダンピラティスであるSTOTT PILATESは、現代的な考えのもと作られているピラティスメソッドのため、お客様の身体の状態や運動歴、目的などに合わせてエクササイズを修正したり、様々なバリエーションを取り入れたりすることが可能です。
以上のような柔軟なアプローチをすることで、いかなる身体の特徴を持つお客様に対しても効果的で安全な指導ができるようになります。
世界的な評価と指導者数
STOTT PILATESは、その科学的根拠に基づいた最高レベルの指導法と質の高い指導者育成プログラムで、世界的に高い評価と信頼を得ています。
STOTT PILATESは、世界100カ国以上、約50,000人のインストラクターを世に送り出していると言われていて、その多くがフィットネスクラブやピラティススタジオで活躍中です。
これほど多くのインストラクターを輩出してきたという事実は、STOTT PILATESのメソッドの質や信頼性が高く、多くの顧客のニーズに対応している証明といえるでしょう。
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STOTT PILATESの資格の種類
本項では、STOTT PILATESの資格の種類について解説します。
- マット
- リフォーマー
- コンプリヘンシブ
以上3つの資格について、各コースの概要や費用、期間などを以下で説明します。
コース | 内容 | 費用 | 期間 |
マット | 初級から中級のマットワークを安全かつ効果的に指導する方法を学ぶ | 1,725.00カナダドル | 95時間以上 |
リフォーマー | 初級から中級のリフォーマーを安全かつ効果的に指導する方法を学ぶ | 2,445.00カナダドル | 125時間以上 |
コンプリヘンシブ | 機能解剖学やSTOTT PILATESの原理、レベル1の初級から中級のマットワークとリフォーマーを応用する方法などを学ぶ | 4,155.00カナダドル | 310時間以上 |
マットコース:IntensiveMatPlus™(IMP)
Intensive Mat Plus™ (IMP)は、フィットネスや運動分野ですでに活動している方を対象としたマットコースです。
IMPでは、個人とグループの両方における幅広いお客様に、STOTT PILATESの初級から中級のマットワークを安全かつ効果的に指導する方法を学びます。
費用は、1,725.00カナダドルとなっています。
認証の要件として、
- 40時間の指導と監督指導
- 最低10時間の観察
- 最低30時間の身体検査
- 最低15時間の教育実習
が必要なため、資格取得には少なくとも95時間がかかる計算になります。
リフォーマーコース:IntensiveReformer(IR)
Intensive Reformer (IR)は、すでにフィットネスや運動分野で活動している方を対象としています。
IRでは、 個人とグループの両方における幅広いお客様に、STOTT PILATESの初級から中級のリフォーマーを安全かつ効果的に指導する方法を学びます。
費用は、2,445.00カナダドルとなっています。
認証の要件として、
- 50時間の指導と監督指導
- 最低10時間の観察
- 最低40時間の身体検査
- 最低25時間の教育実習
が必要なため、資格取得には少なくとも125時間がかかる計算になります。
コンプリヘンシブコース:ComprehensiveMatwork&Reformer(CMR)
Comprehensive Matwork & Reformer (CMR)では、機能解剖学やSTOTT PILATESの原理、レベル1の初級から中級のマットワークとリフォーマーを応用する方法などを学びます。
CMRは通常、12~15週間のフルタイムで行われた後、研修期間が設けられています。
CMRを修了すれば、効果的なピラティスマットワークとリフォーマープログラムのしっかりとした基礎と必要なスキルを身につけられます。
費用は、4,155.00カナダドルとなっています。
認証の要件として、
- 機能解剖学30時間
- 90時間の指導と監督指導
- 最低20時間の観察
- 最低70時間の身体検査
- 最低40時間の教育実習
- 修了後、60時間の研修を実施
が必要なため、資格取得には少なくとも310時間がかかる計算になります。
STOTT PILATES資格取得までのステップ
本項では、STOTT PILATES資格取得までのステップをご紹介します。
受講から試験までの実際の流れを掴むため、
- 事前要件と準備すべきこと
- モジュール制による学習方法
- 試験内容と合格のポイント
- CEC(継続教育)とアップデート制度
の順で、詳しく説明します。
事前要件と準備すべきこと
STOTT PILATESの資格取得には、特定の運動経験は必須ではありませんが、コースの対象がフィットネス分野での経験者になっているため、ピラティス経験があるに越したことはありません。
ピラティス経験があると講座の内容も理解しやすいため、事前準備としてSTOTT PILATESエクササイズを体験しておくとよいでしょう。受講前に、解剖学や運動学の基礎知識も学んでおくとよりスムーズな学習が期待できます。
また事前準備として、前述した受けたいコースの認定要件の受講時間が確保できるかを確認することも重要です。
ちなみに運動経験がない方でリフォーマーから始めたいという方もいますが、リーフォーマーコースであるIRは、STOTT PILATESの基本原則を理解していることを前提にコースが構成されていあるため、リフォーマーから始めたい場合も、まずはマットコースであるIMPから受講することをおすすめします。
モジュール制による学習方法
STOTT PILATESのマットコース(IMP)やリフォーマーコース(IR)は、受講生のスケジュールに合わせたモジュール制での分割受講も可能です。
学習内容はフルコースと同じで、モジュール1とモジュール2に分けて講義が受けられます。
モジュール2は、必ずモジュール1を修了した後に受講します。
両モジュールは6か月以内に受講する必要があるので、全体のスケジュールを管理しながら計画的に進めていくことが大切です。
試験内容と合格のポイント
STOTT PILATESの認定試験には、筆記試験と実技試験があります。
筆記試験では、
- 解剖学
- 運動学
- マットワークの順序
- 姿勢について
- 器具の適切なセットアップ
- STOTT PILATESの原則
などの知識が問われます。
実技試験では、エクササイズの指導スキルやお客様への対応能力などが評価されます。
試験対策として有効なのは、コースで学んだ知識やの復習や教材の見直し、エクサイズを実際に確認することです。
また実技試験に対しては、家族や友人、クラスメートなどできるだけ多くの人に練習を頼み、指導の練習をして下さい。実際に身体を動かしながら練習することで、知識の応用や指導スキルの向上がしやすくなるでしょう。
CEC(継続教育)とアップデート制度
STOTT PILATESの資格には、更新制度があります。
資格を維持するためには、毎年0.6CEC(継続教育クレジット)の取得が必要です。
CECは、ワークショップやコースを受講することで取得ができます。
ピラティスインストラクターになると、知識や指導法を最新のものにアップデートするための定期的な学習が必要になりますが、STOTT PILATESには資格の更新制度があるため、半強制的に定期学習ができる仕組みになっています。
ちなみにCECは、試験合格の翌年の1月1日から1年以内に取得する必要があるので、覚えておきましょう。
日本でSTOTT PILATES資格を取得するには
STOTT PILATESはカナダを本拠地としていますが、日本での資格取得も可能です。
本項では、国内の受講環境や特徴を知るため、
国内開催スタジオや提携スクールや日本語サポートの有無について詳しく解説します。
国内開催スタジオや提携スクール
STOTT PILATESの資格を日本で取得できるように、日本国内にはSTOTT PILATESと提携しているスタジオやスクールがあり、STOTT PILATESのコースを受講できるようになっています。
日本国内開催スタジオや提携スクールは以下の9つがあります。
- Sky Pilates Tokyo
- YOKO-SO ピラティス表参道
- ルルピラティススタジオ(中国語コース)
- フレックスフィットピラティス&ワークアウト
- ピラティススタジオWith
- ヴィ・ピラティス・スタジオ
- ピラティススタジオSKY
- ピラティススタジオ ナマケモノ
- ZONEアカデミーオブフィットネス(Bcube)
スクールは東京、神奈川、愛知、大阪にあるので、通いやすいところを選んでください。
日本語サポートの有無
日本国内のスクールのSTOTT PILATESのコースでは、日本語での指導や教材が提供されていることがほとんどです。
前述したルルピラティススタジオは中国語によるSTOTT PILATESの養成コースを開催していますが、その他の提携スクールでは、日本人講師による日本語での丁寧な指導が行われています。
また、Merrithew社は、Mat/Ref Support Materials Book (Japanese)という日本語の教材も提供していますし、コースによっては、日本語と英語のバイリンガル講師が在籍していることもあります。
詳しくは受講を考えているスクールに、日本語でのサポート体制について事前に確認してみてください。
他のピラティス資格との比較
ピラティスの指導資格は様々な団体が発行していて、それぞれに特徴があります。
本稿では、STOTT PILATESと比較されることの多いBASI Pilatesとbalanced bodyとの違いを解説します。
また、 どのような人にSTOTT PILATESが合っているかも合わせてご紹介します。
STOTTvsBASI
STOTTとBASIの大きな違いは、その特徴にあります。
STOTT PILATESは、ジョセフ・ピラティスのメソッドを基盤にして、理学療法や解剖学などの現代の科学的なアプローチを取り入れたより安全で効果的なエクササイズが特徴です。
あらゆる身体の状態のお客様のニーズに応えられるようエクササイズの修正を柔軟に行うことを重要視しているモダンピラティスなため、リハビリテーションやケガの回復に強みを持ちます。
それに対して、BASI PilatesはBASI Systemに基づいた「流れるような動き」と重視したクラシカルピラティスの要素が強いエクササイズが特徴で、ダイナミックな動きを通じた筋力アップやダイエット目的の人、またダンサーやアスリートに人気があります。
BASI Pilatesについてもっと詳しく知りたい方は、下記記事も参考にしてください。
BASIピラティス資格とは?資格取得のメリットやコース内容を詳しく解説
STOTTvsbalancedbody
STOTT PILATESとbalanced bodyは、指導法に大きな違いがあります。
STOTT PILATESが解剖学などのバイオメカニクスに基づいて姿勢や身体のバランスを整えることや、ケガの予防や回復を目的としたリハビリテーションエクササイズに力を入れていますのに対し、balanced bodyは特徴の一つであるムーブメントプリンシパル(動きの原則)と原則を応用する方法を軸に、解剖学や生理学の分野から『身体』を科学的に学びます。
また、balanced bodyは、ピラティスの製造で世界的に有名なため、マシンを活用した教育プログラムが充実していることも特徴です。
balanced bodyについてもっと詳しく知りたい方は、下記記事も参考にしてください。
balanced bodyのピラティス資格とは?特徴・取得方法・他団体との違いを解説
STOTT PILATESの資格はこんな人におすすめ
前述のとおりSTOTT PILATESは、リハビリテーションやケガの回復に強みがあり、身体に問題を抱えた患者様に対してもエクササイズ指導ができることが特徴です。
また、運動の初心者や高齢者など幅広い層の人に対しても、個人に合わせた安全で効果的なピラティスを提供できることから、リハビリ分野やパーソナル指導との相性が非常に良いといえます。
以上のことからSTOTT PILATESは、理学療法士や作業療法士などリハビリ分野で活躍している医療従事者や、個人の状態に合わせた細やかな指導を行いたい人や安全性を重視する人などに向いているでしょう。
STOTT PILATESがご自身の目的に合致していたら、ぜひ資格取得を目指してみてください。
トレーナーエージェンシーでは、
・トレーナーとして必要な素養
・具体的なトレーナーの働き方
・おすすめの資格
・トレーナー資格試験の力試し模擬問題
・うまく行く人/いかない人の違い
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まとめ|STOTT PILATES資格は科学的アプローチと実績で選ばれている
今回の記事では、STOTT PILATESの資格の特徴や取得方法、他の団体のピラティス資格との違いなどを解説しました。
STOTT PILATESは、従来のピラティスに現代の理学療法や解剖学などのバイオメカニクスを取り入れ、現代人の身体の構造や動きの特性に合わせた修正を行った結果、どのような状態の人に対しても安全で効果的なエクササイズを提供できるようにしました。
その科学的アプローチと実績の高さは世界中で評価されていて、現在も多くのピラティスインストラクターから選ばれる理由になっています。
STOTT PILATESの拠点はカナダですが、日本国内においても多くの提供スタジオやスクールがあり、日本語でのサポートも充実しているため、資格取得をしやすいのではないでしょうか。
今回の記事が、どのピラティスインストラクターの資格を取ろうか迷っている人にとってヒントになれば幸いです。

パーソナルトレーナー 業界総合支援サイト「トレーナーエージェンシー」編集部です。