疲れた人を癒したり、動きの悪くなった身体をよくしたり、人のために何かをできる仕事に就きたい。
そんな思いから鍼灸師を目指すという人も多い鍼灸師という職業。
なりたい気持ちはあるものの、実際に仕事にした場合、お給料や年収はどのくらい？ちゃんと食べていけるのか？
そんな不安を持つ人もいることでしょう。
ここではそんな鍼灸師のお給料や年収、今後の鍼灸師の仕事の広がりについて紹介していきます。

鍼灸師の平均給与と年収

実際の鍼灸師給与はどのくらいなのでしょうか？
年度別の平均給与で見てみると、
・平成8年　203,000円
・平成13年　201,000円
・平成18年　210,000円
・平成23年　204,000円
・平成28年　200,000円
と、ここ20年ほぼ横ばいです。

開業している鍼灸師と勤務している鍼灸師の平均給与の違いとしては
・開業している鍼灸師の場合の平均給与　203,000円
・勤務している鍼灸師の場合の平均給与　198,000円
若干ですが開業している鍼灸師の方が平均給与は高い傾向があります。
開業している鍼灸師の場合、持っている資格によって平均月収に開きがあるようです。
そのことについては「稼げる鍼灸師になるためには」でふれています。

男女別の平均給与は
・男性鍼灸師の場合　228,000円
・女性鍼灸師の場合　168,000円
男女別で見ると男性の方が60,000円も高いという結果になっています。
しかし、美容鍼灸やレディース鍼灸などの分野での需要の高まりから、女性鍼灸師の需要も増えており、今後女性の鍼灸師の給与が上がることも期待できます。
特にレディース鍼灸などの場合、女性特有の悩みなどをサポートすることから、女性の鍼灸師を希望する人も多く、女性の鍼灸師のニーズはこれからも増えていくでしょう。

開業している鍼灸師と勤務している鍼灸師

では実際に勤務している鍼灸師と開業している鍼灸師の割合はどうなっているのでしょうか？

・開業　34.5％
・勤務　68.5％

となっています。

開業している鍼灸師

開業している資格としては

・はり師・灸師　39.4％
・あん摩マッサージ指圧師　34.4％
・あん摩マッサージ指圧師・はり師・灸師　29.1％

あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書（要約版）｜公益社団法人 東洋療法学校協会　P11より

と、はり師・灸師の資格を持っている人の開業率が高いようです。
開業した時期については、資格取得から半年未満が40.7％と一番高く、1年～2年が16.9％と次いで多い数字になっています。

あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書（要約版）｜公益社団法人 東洋療法学校協会　P13より

開業した施術所の種別については以下のようになっています。

・鍼灸施術所　37.2％
・あん摩マッサージ指圧・鍼灸施術所　31.6％
・鍼灸・柔整施術所　14.1％
・あん摩マッサージ指圧施術所　10.7％
・あん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔整施術所　4.9％
・あん摩マッサージ指圧・柔整施術所　0.4％

あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書（要約版）｜公益社団法人 東洋療法学校協会　P15より

鍼灸の施術にあん摩マッサージ指圧を加えると、開業している人の7割近くになります。
開業している人の4割近くの人は、はり師・きゅう師の資格を持っており、加えてあん摩マッサージ指圧師の3種類の資格を持っている人が3割程度ということです。
これに柔道整復師を加えると一気に数が減ることから、プラスの資格として柔道整復師の資格を取っておくと、希少価値が加わり、収入UPも期待できます。

勤務している鍼灸師

勤務している鍼灸師の勤め先はどうなっているのでしょうか？

・鍼灸・柔整施術所　20.3％
・出張施術　14.8％
・あん摩マッサージ指圧・鍼灸・柔整施術所　14.4％
・あん摩マッサージ指圧・鍼灸施術所　11.9％
・病院・医院　10.4％
・鍼灸施術所　8.0％
・介護保険施設　6.1％
・そのほか　3.5％
・リラクゼーション・SPAなど施設　2.7％
・あん摩マッサージ指圧施術所　2.7％
・あん摩マッサージ指圧・鍼灸師専門学校・大学の教員　1.5％
・会社などの福利厚生医療施設　1.0％
・スポーツクラブ　0.8％
・あん摩マッサージ指圧・柔整施術所　0.5％

ここでも鍼灸と柔整の両方のできる施術所が多いようです。
病院や介護施設も需要が多いようで、日本社会の高齢化を考えると、高齢者施設の需要は今後も増えていく事が予想されます。
この数字からSPAやリラクゼーション施設・スポーツクラブなどにも需要があることがわかります。
今後もこの数字は増えることが予想され、スポーツクラブへの就職を考えた場合、パーソナルトレーナーやアスレチックトレーナなどのスポーツ関係の資格を合わせて持っておくことで、より有利になる可能性は高いでしょう。

あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書（要約版）｜公益社団法人 東洋療法学校協会　P16より

稼げる鍼灸師になるためには

持っている資格を活かしてより給与を上げるためには、どうしていけばいいのでしょうか？
給与を上げる方法の1つとして、プラスαの資格を取得する方法があります。

例えば、同じように開業している場合でも、持っている免許の種類によって、平均月収の金額に変化が見られます。
はり師・きゅう師の免許のみで開業している場合の最多の月収金額帯は10万円以下の50.4％であるのに対して、あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の4種類の資格を持って開業している場合、最多月収金額帯は55万円以上の30%です。いずれの資格を取るにしても、全体的に柔道整復師の資格をあわせて取得している方が給与は高くなる傾向があります。

あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書（要約版）｜公益社団法人 東洋療法学校協会　P18より

また、近年鍼灸師のニーズの増えている業界に、スポーツ業界と美容業界があげられます。
そのためアスレチックトレーナーやパーソナルトレーナーの資格を取得したり、美容鍼灸の勉強をする鍼灸師も増えてるいます。
トレーナーの資格を取得し、有名スポーツ選手の専属トレーナーになることで、年収1,000万以上を稼ぐことも可能です。

これからもとめられる鍼灸師とは

美容業界やレディース鍼灸など、女性目線の鍼灸技術が今後伸びていくことが予想されます。
そういった業界情報の先取りができる視野の広さもこれからの鍼灸師に求められる1つの要素でしょう。

稼げる「鍼灸師のなるためには」でも書きましたが、はり師・きゅう師 の資格の他に、柔道整復師などの資格を取得したりスポーツ・美容鍼灸・女性特有の症状をサポートするレディース鍼灸・高齢者を対象とした鍼灸など、専門的な技術や知識を学ぶことで、より専門性の高い鍼灸師を目指しましょう。