トレーナー向け資格

ACSMとはどんな資格?資格の内容と取得方法とは

最近、病気やケガをしにくい体を作る「予防医学」や病気が深刻にならないうちに対処する「未病」が大きく取り上げられています。フィットネスの世界でも、こうしたメディカルな考え方が求められ、中でも「ACSM」に注目が集まっています。そこで今回は、この「ACSM」についてご紹介します。

ACSMとは何?

ACSMはアメリカの団体の呼び名

ACSMとは(American College of Sports Medicine:アメリカスポーツ医学会)の頭文字をつなげた組織の名称です。
資格の名称は「EP-C」となります。

アメリカスポーツ医学会とは?

ではアメリカスポーツ医学会とは何でしょう。この団体は、ヘルスフィットネスやスポーツ医学の資格を認定する団体で、1954年から活動を開始し、現在は世界90以上の国で、5万人を超える会員を有しています。世界的に認知されているだけでなく、さまざまな機関がACSMのガイドラインを採用している点を見ても、その信頼度は絶大です。

ACSM EP-Cは運動生理学者という資格

EP-Cは、Certified Exercise Physiologistの略で、エクササイズ・フィジオロジスト、つまり、運動生理学の資格ということです。予防医学を含めた運動生理学の知識やスキルの高いトレーナーであることを証明する資格。そして、日本語で受験できる唯一のACSMに関する資格です。

なぜ、ACSMの資格?

勉強

パーソナルトレーナーに必要?

パーソナルトレーナーに国家資格はありません。だからこそ、トレーナーはそれぞれ、アメリカでのアスレティックトレーナー実績を積むためのNATA資格、スポーツ選手により専門的なケアを行える鍼灸師や柔道整復師の資格など、さまざまな資格を取得することで、パーソナルトレーナーとしての強みや個性を身に付け、他のパーソナルトレーナーとの差別化を図っています。

ACSM EP-Cを取得するとどうなる?

簡単に言うと、運動科学の学士号を有するヘルスフィットネスの指導者です。健康な人や医療を受けている人に対して、パーソナルトレーニングをより高いレベルで実施することができます。例えば、体力の測定結果から予防医学に則った運動処方を作成し、リスクマネジメントも行います。

その深い知識や高いスキルにより、自信を持った指導ができるようになります。また、ジムによっては、資格取得が優遇されることもあり、パーソナルトレーナーとしての強みになります。

ACSM EP-C取得者は、何を求められる?

(1)危険因子、健康状態の査定、フィットネス評価、運動処方に置ける十分な知識と技術

(2)個人の身体機能を向上させるために必要な身体活動を常に新しい知識で更新できること

(3)個人の生活様式を改善するために効果的なカウンセリングを行えること

(4)機能解剖学、運動生理学、栄養学、危険因子の確認、生活様式改善方法、障害予防を含めた運動科学の知識

ACSM/EP-C日本語試験 終了のお知らせ

ACSM/EP-C(ACSM Certified Exercise Physiologist;ACSM認定エクササイズフィジオロジスト)の日本語試験は、ACSM本部の方針により2019年5月2日をもって終了しました。

ACSMに他の資格はない?

日本語で受験できるのは、EP-C(エクササイズ・フィジオロジスト)だけですが、英語が堪能で、英語での受験が可能ならば、他に資格があります。

グループエクササイズ・インストラクター(受験資格:高校卒業以上&CPR)・パーソナルトレーナー(受験資格:高校卒業以上&CPR)・クリニカルエクササイズ・フィジオロジスト(受験資格:運動科学関連分野4年制大学卒業&CPR&実務経験)・登録クリニカルエクササイズ・フィジオロジスト(受験資格:運動科学関連分野4年制大学院修士の学位&CPR&実務経験)があります。

参考サイト:https://www.jafanet.jp/license/acsm_hfs/

資格の受験に条件は?

本を読む女性

受験には2つの条件が必要

運動科学や運動生理学、キネシオロジーの学士号以上の学位が必要で、具体的には

(1)認定大学(単科大学・総合大学)における運動科学専攻の学士号以上の学位(上記大学の該当する課程の最終学期に在籍する学生は受験可能)

(2)成人CPR(心肺蘇生法)・AED(自動体外式除細動器)の資格(スキル実習が含まれるもの)を有すること。

この2つです。特にトレーナー活動は必要ありませんが、今、この資格を考えて進路を探している人は、認定大学への進学が近道になりそうです。

受験はどこで?

ピアソンビュー社公認テストセンターにおいて、インターネット上で受験するコンピューター・ベース・テスト方式。事前に日本フィットネス協会で受験バウチャーを購入する必要があります。バウチャー購入後、ピアソン社のウェブサイトでアカウントを作成し、希望のテストセンターで受験となります。

試験内容は?

出題:10領域におよぶKSA(K(Knowledge 知識)・S(Skillスキル)、A(Attitude 態度・姿勢))に基づき、選択式問題がおよそ125~150問

<10領域の例>

運動処方(トレーニング)とプログラミング31%・運動生理学と関連運動科学23%・健康評価と体力運動負荷試験12%・栄養と体重管理8%・プログラム管理、品質保証、結果評価8%・安全性、障害予防、緊急時の対応7%・病態生理学と危険因子5%・ヒトの行動4%・心電図と診断技法1%・医学および外科的管理1%など

受験時間は3時間30分で、合否の結果はテスト終了後に画面に表示されます。2015年の実績ですが、合格率は43%。もしも不合格の場合は、最初の試験から15日以降に再試験が受けられます。

勉強法はどうしたら良い?

とにかく問題集をがっち解く事です。教本「ACSM 運動処方の指針(原著第8版)」日本対力医学会体力化学編集委員会(南江堂)を徹底的に勉強し、ACSM問題集を解きましょう。誤りや不明点はまた、教本で確認し、勉強する。この繰り返しを何度も行うことで実力をつけましょう。

一度合格すればいい?

本とりんご

3年ごとに更新手続きを

3年ごとに更新手続きが必要になります。3年の間に、国レベルで認定した団体による理論講習会を受講し、継続教育単位を60単位以上取得しなければなりません。また、CPRにも有効期限があるので、この資格の継続手続きも必要になります。

提出書類は?

更新手続きの際、単位証明書等を提出する必要はありませんが、1年間保有することが義務付けられています。また、更新期限が過ぎた場合は6か月の猶予期間が設けられていますが、延滞料が必要となってしまいます。

ACSM資格に関するQ&A

【Q1】活躍の場は?

フリーのパーソナルトレーナーとして働くことはもちろん、フィットネスマネジメントなど学んだ知識を生かして、商業施設やコミュニティ、企業、大学や病院などに勤務することが可能です。

【Q2】無作為検査があると聞いたのですが

受験の際と更新手続きの際、証明書の提出は義務付けられていませんが、ACSMは合格者や更新者の何割かを無作為に抽出して英文化したすべての証明書類の提出を求められます。

【Q3】教本や問題集以外に勉強ツールは?

ACSMは試験準備のワークショップやオンライン小テストなど、さまざまな学習ツールを提供しています。詳しくはACSMのホームページで確かめてください。

【Q4】更新に必要な単位はどう換算する?

原則として、運動科学に関する日本での理論講習は60分につき、1単位と定められています。受講したら必ず、受講証明書を受け取りましょう。

【Q5】ACSMについて情報交換できる場はない?

日本でのACSM EP-C資格をもっと盛り上げ、活性化するための有志の会「ACSM EP-C JP」がFacebookを中心に活動しています。ここでは、資格に対する情報提供や取得者同士の情報交換や連携が図れます。

ACSM認定資格は、難易度が高く、スキルアップのために更新条件も厳しく定められています。その分、信頼度は高く、パーソナルトレーナーとして活動していく上で、大きな力になるはずです。もしも、パーソナルトレーナーを目指すのであれば、ぜひ、挑戦してほしい資格です。

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