生理学とは?運動生理学との違いやトレーニングとの関係性

生理学と聞いて、具体的にはどのような学問かと聞かれると悩んでしまう方は多いと思います。生理学ではどんな事を学ぶのか、生理学と運動生理学とはどう違うのか、生理学を活かした就職先とはどのような業種になるのかなども気になるところでしょう。

そこで今回は生理学とは何か、学ぶ分野や生理学が学べる場所などについてわかりやすく解説していきます。生理学が役立つ業種や主な就職先についても紹介しますので、生理学を理解する際の参考にして頂ければと思います。

生理学とは?

そもそも生理学とは、どのような学問なのでしょうか。

身体の正常な機能について研究する学問

人は生きているとお腹が空いたり、走ると呼吸が速くなったり、暑いときには汗をかいたりします。こうした現象を学ぶのが生理学です。

空腹になると身体の中でどのような事が起こるのか、暑いとなぜ汗をかくのか、といった身体の正常な機能についての研究も、生理学の範疇となります。

身体の機能や仕組みを解き明かす

たとえばお腹が空いたと感じるときには血液中の糖質が減少し、エネルギーが不足するのを防ぐため、脳が身体に指令を出して摂食中枢(食欲を司る神経)を刺激し、満腹中枢のはたらきを抑えて食事をうながします。

暑いと感じるときには、気温の上昇とともに体内の温度も上がるため、体温を下げようとして汗をかき、表皮から水分である汗が蒸発するときに体表の熱を奪います(気化熱)。生理学はこうした身体の機能や仕組みを解き明かす学問で、ノーベル賞の対象ともなっており、iPS細胞に関する研究で山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞したのは記憶に新しいところです。

このように、生理学は医学と並び、病気の予防や治療などにも貢献しています。

多種多様な生理学の分野

次に、生理学で学ぶ分野についても見てみましょう。生理学の分野は幅広く多岐にわたりますが、主な分類は以下のものになります。

・人体生理学:主に人体に起こる生理現象や仕組みを扱います。臨床医学の基本的な知識として、臓器や骨格・筋肉といった身体のはたらきについて学びます。上記であげたお腹が空く仕組みや暑いときに汗をかく生理現象なども、人体生理学として学んでいきます。

・植物生理学:生き物のうち、植物の生きる営みや仕組みについて学ぶのが植物生理学です。農学や植物科学に関わるものから、植物の細胞や遺伝子に関する研究などもおこないます。

・動物生理学:動物の身体の仕組みや機能について学びます。植物以外のすべての動物が対象となるため人間も含まれますが、医学的な側面よりも動物の「ヒト」として、それ以外の動物を含む生物の生理に関する包括的な内容を研究対象とされるのが一般的です。

・内分泌生理学:人体の生理のうち、ホルモンなどの血中に放出される分泌物について学ぶのが内分泌生理学です。汗や消化液など、体外や臓器に送られる分泌物は外分泌として、血管内に送られる内分泌とは区別されます。

・細胞生理学:生理学のうち、細胞系について詳しく研究するのが細胞生理学です。再生医療や胎児の生理機能なども細胞生理学に含まれます。すべての生物は細胞で構成されているため、包括的な内容も含まれます。

・神経生理学:中枢神経や末梢神経など、神経について学ぶのが神経生理学です。神経の伝達系やリハビリテーションの分野でも必要な学問となります。

こうしてみると、生理学には医学に近い分野もあれば生物学・動物学や農学に近い分野もあり、トレーナーや理学療法士に必要な知識も含まれている事がわかります。
人の身体は水分と脂質を除けばほとんどがたんぱく質で構成されているため、生理学ではたんぱく質についても学ぶ事となります。こうした生理学は、どのような場所で学べるのでしょうか。

生理学を学ぶ場所

生理学が学べる教育機関として、おもに以下のような場所があげられます。

大学

生理学の分野は多種多様なため、医学部や医科大学だけでなく、4年制大学の体育学部やスポーツ科学系の学部でも学ぶ事が可能です。トレーナーとして必要な生理学を学びたいなら、むしろこうした専門学部で学んだ方が知識を深める事ができるでしょう。

さらに、スポーツ科学や体育学部で学んだ生理学についてより専門的な知識を得たい場合は、大学院へ進学してさらに詳しく研究を続けるという選択肢もあります。生理学の知見を深める事で、就職の際に強みとなる場合もあるでしょう。

トレーナーの民間スクール

生理学は大学や大学院だけでなく、民間のスクールでも学べます。スポーツトレーナー養成校や専門学校では、実習や実技もカリキュラムの中に組み込まれているため、実際にトレーナーとして働く際に必要となる実践的な環境で生理学を学ぶ事ができます。

理学療法士や柔道整復師などの国家資格は3年以上学ぶ事が受験資格となっている場合が多いため、資格取得も目指すなら3年制の専門学校を選ぶと良いでしょう。

生理学を学んで就職できる業種は?

生理学を学んで就職できるおもな業種には、以下のようなものがあります。

バイオテクノロジー

遺伝子やDNA構造を解析し、医療や農業に新しい技術をもたらすのがバイオテクノロジーに関する仕事です。生理学に関わる研究開発の中でも最新の知識が必要とされるため、大学院卒の方が有利となるケースが多いでしょう。

医薬品メーカー

医薬品メーカーには創薬に力を入れている企業も多く、生理学を学ぶ人にも人気の業種となっています。薬科や化学科の学生にも人気がありますが、海外の医薬品メーカーへの就職も可能なため、グローバルに活躍したい人にとっては選択肢の1つに入れるのも良いでしょう。
バイオテクノロジー同様、研究開発職で応募するなら、大卒よりも修士の方が優遇されやすくなります。

植物園や試験所

植物生理学などの専門知識を活かすなら、研究員・学芸員として働く事もできる植物園や試験所が就職先として有力です。
研究思考が強く、特定の分野において強みを持つ人にオススメの業種といえるでしょう。

トレーナー

生理学の中でも、おもに神経生理学や運動生理学を学んだ人にはトレーナー職がオススメです。特に運動生理学では、運動によるエネルギーの代謝や筋線維の再生、身体づくりに必要となるたんぱく質やホルモンなどについて学ぶため、運動の際に起こる身体の生理現象や仕組みが理解できます。生理学の知識がないトレーナーよりも的確な指導が可能となります。

生理学では最先端の研究や創薬の開発に従事するだけでなく、多種多様な分野の知識を武器にさまざまな就職先が選択できる点も魅力です。特に運動生理学について学んだ場合は、その知識を活かしてトレーナーとして働く事も視野に入れると良いでしょう。

まとめ

生理学とは、人間を含む生物の身体の仕組みや生理現象について学ぶ学問の事で、神経生理学や細胞生理学・内分泌生理学など多様な分野に分かれています。生理学が学べる場所は大学や大学院のほか、スポーツトレーナー養成校や専門学校でも学ぶ事が可能です。

生理学を学んだ後の就職先としては、医療や医薬品の研究開発・バイオテクノロジーなどの分野があげられますが、運動生理学を学んだ人にはトレーナーもオススメです。運動によるボディメイクや筋肉が再生する仕組み、たんぱく質の身体への作用などの知識があれば、それを強みとして的確な指導ができるトレーナーを目指せるでしょう。

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